企業のドレスコード
ネット記事が原因で海外で日本企業のドレスコードが問題にされているという記事がある。 これを読むと、日本の広範な企業でハイヒールの強制やめがね着用の禁止が定められているような印象を受ける。
これに対して、そもそも女性に対するハイヒールの強制やめがね禁止など、全企業の中でそんなドレスコードを服務規定で定めている企業がどれほどあるのだろうかと疑問に感じた。
そもそも私が社会に出た頃(約50年前)、就職した企業には服務規程に服装に関する項目はあったが、「清潔で業務に差し支えのないもの」程度の規定だった。 これは他の企業でも同じようなものだったろう。 ただし金融業の窓口勤務や秘書室勤務などの応対をする独身女性に対しては、年初の初出勤日は振り袖着用などという指示が出されることはあったが、これは服務規程とは別の指示で年始挨拶に来る客をもてなすためという意味合いだった。 ただしこれ、も数年後(金融業でも約10年後)には女性の負担が大きいと言うことでほとんどの企業で廃止された。
また、当時は女子社員には事務服(制服)が支給されるのが普通で、男子社員も事務部門以外は作業服が支給されて、作業安全の観点から作業現場に出る時は着用が義務づけられていた。 私がいた企業では工場長(一応は重役だ)も事務棟から出る時は作業服に着替えていた。 作業服に着替えていれば目立たないし、服の汚れを気にしなくても良いというメリットのためかもしれないが。
その後何十年か経つと、女性上級職が増えたことを理由に女性への事務服支給が廃止され私服での執務となり、現場で業務に就く女性が現れて彼女らには作業服げ支給されるようになった。 ただし事務服の廃止には、毎日着る服を考えるのが面倒とか、華美の競争になる可能性があるなどという女性からの反対意見もあった。
一方、事務系部門の男性社員はスーツが原則で、それは当時も今も変わっていない。 私の引退が近づく頃には、男性にも服装の自由化をと言う見地から執務服はスーツでなくてもと言うことになった。 その際、穴あきジーンズはどうかという意見もあったが、私がいた企業ではそれは来客に失礼だろうと言うことで認められなかった。 ただし、スーツ以外でも来客に失礼なものでなければ良いと言うことになっても、大部分の事務職員はスーツのままだった。
そのような自分の経験を振り返ってみると、ネットで話題になっているような企業、ハイヒール強制やめがね禁止を要求する企業はごく一部の変わった企業だろうと考える。 はたして本当に服務規程で定めているのだろうか。 もしかするとその部門の管理者が自分の好みを部下に 押しつけているだけかもしれない。 よほどのワンマン企業であれば可能かもしれないとは思うが。
もっともこれらは事務職や技術職の話で、アパレルや化粧品のなどの販売員のように客に与える印象が重視される職種ではまた別の話になるかもしれない。 それは日本でも西欧でも変わらないだろう。
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