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February 03, 2023

失われた10年:安倍氏と黒田氏は何を間違えたのか?

アベノミクスの10年間、安倍ファンの主張と異なり経済がほとんど好転しなかったと言う見方がほぼ定着しつつある。 それは何故なのか、安倍氏と黒田氏は何を間違えたのかを検証しなければならない。

学問的な分析は政治学者と経済学者に任せるとして、私はこの二人が相関関係と因果関係を取り違えていたことが最大の原因ではないかと考える。 高度成長時代には物価と賃金の両方が上がり続けた。 始まりは朝鮮戦争特需による「糸へん景気」だがこれで設けた企業が賃金を上げ、それが日本景気全体を刺激して物価と賃金が循環的に上昇を続けた。 つまり「賃金上昇」→「需要拡大」→「物価上昇」→「企業収益増」→「賃金上昇」と言う循環(スパイラル)が生じていたのだ。 しかし安倍氏と黒田氏は「物価」と「景気」は相関があるから「物価」を上げれば「景気」が良くなると勘違いしてしまったのだろう。

確かに行動成長期には「景気」が良くなると「物価」が上がっていたのだが、これは「好景気」が「物価上昇」を引き起こしていたもので、原因は「好景気」であり「物価上昇」が結果である。 しかし数学で学ぶ様に「逆は必ずしも真ならず」で、逆が成立するのは「原因」≡「結果」の場合のみで、この場合も原因と結果を入れ替えると因果関係が成立しない。 それを理解しないまま「物価」が上がれば「景気」が良くなり「賃金」も上がるはずだと思い込んでしまったのだろう。

しかし高度成長は朝鮮戦争特需と言う外的要因で始まり、池田勇人氏が「所得倍増計画」をぶち上げ、また国内産業保護成果s区を続ける等して後押しをしたため「ドルショック」で原則はされた物の「石油ショック」でとどめを刺されるまで継続することが出来たのだ。

つけ加えると、この「石油ショック」対策の経済刺激策を必要性がなくなった後も続けられたことが後の「バフル経済」、そして投機経済の行き過ぎに危機感を感じた大蔵省と政府が急激な引き締めを行った事が「バル崩壊」を引き起こした。 もっと緩やかな引き締めができたのではないかとの意見もあるだろうが、あの時点で、投機のキャッチボールによる土地や証券価格の釣り上げは既に合理性の限界を超えていて、放置しても自壊は避けられなかったろう。 問題はむしろ引き締めに移るタイミングが遅すぎたことだと考える。

結論として、安倍氏と黒田氏のアベノミクスのが失敗したのは、「相関関係」と「因果関係」の違いを理解できていなかったと言う初歩的な誤りにあったと言える。 そして市中に供給される資金が、そのまま企業活動に回り「景気浮揚」に役立つと考えたことも誤りだった。 供給された資金の大部分は「投機市場」に流れ、そのままそこに留まり企業の活動の活発化にはほとんど寄与しなかった。 理由は「投機市場」はブラックホールに似た性質が有り、そこに流れ込んだ資金の大部分は、利益が出て御再投資されそのごく一部しか消費市場には出てこないからだ。 これはブラックホールが落ち込む物質のごく一部だけをジェットとしたはき出すのによく似ている。

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