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October 14, 2022

ブレーキが利かない

富士山で横転事故を起こしたバスがある。 運転手がブレーキが利かないと言っていたと添乗員が証言しているという。 この言葉についてテレビのニュース方やネットでは様々な憶測発言が氾濫している。

一口にブレーキが利かないと言っても、そこには様々な原因や条項が考えられる。

まずブレーキが作動しなかったらどうか? これは明らかにブレーキが利かない状態であるが、不作動の原因が幾通りも考えられる。 昔からよく知られている原因の一つはブレーキの過熱だ。 過熱によってブレーキの効きが悪くなる原因はいくつかある。 ひとつはブレーキフェードでありもう一つはベーパーロックだ。 さらに大型車でエアブレーキ(空気式ブレーキ)を装備している場合は空気圧不足もあり得る。

ブレーキフェードはブレーキドラムが過熱する事で発生し、二つの現象が関与している。 ひとつはドラムの温度が上昇することによってドラムが熱膨張して内径が増えることで、この為ブレーキシューをドラムに押しつける圧力が減少して効きが悪くなり、最悪はシューがドラムに届かなくなる。 こうなるとブレーキは全く利かない。 ただしこれは円盤を両側から挟んで締め付けるディスクブレーキでは起こらない。

ブレーキシューの表面にはブレーキパッドが張られており、これは適切な摩擦力と耐久性を持たせるため様々な材料をフェノー樹脂で固めて作られている。 フェノール樹脂は熱硬化性樹脂であるので熱で軟化することはないが、極度の高温が続くと熱分解して強度が低下する為摩耗が激しくなる。 従って常習的にブレーキを酷使しているとパッドがなくなってブレーキが利かなくなることはあり得る。

ベーパーロックはブレーキ系統のパイプやホース中に気泡が生じて、ブレーキシューに油圧が正常に伝わらなくなりブレーキの利きがが悪くなる現象だ。 油圧系統内に気泡が生ずる原因は、一つは整備時の脱気不良で気泡が残った場合。 また、オイルに水分が混入した場合にもブレーキの熱で水分が気化して生じる。 さらにブレーキを酷使し続けていると作動油が熱分解して泡を生じる場合もある。 ただし圧縮空気で作動するエアブレーキではオイルを使わないのでベーパーロックは発生しない。

このほかにドラマではブレーキの油圧系のキャップを緩めておき、走行中に次第にオイルが抜けてブレーキが利かなくなって事故を起こさせるというものをよく見かける。 もちろん故意にキャップを緩めなくても、オイル交換作業後にキャップの締め付けが不十分だと走行中に緩んでオイルが漏れ出す可能性がないわけではない。

さらにエアブレーキを装備している大型車の場合、コンプレッサーの不調やブレーキの使いすぎで空気圧が不足するとブレーキの利きが悪くなる。

また、大型車両には油圧やエアブレーキの他に排気ブレーキを装備しているものが多い。 これは排気管の一部または全部をふさぐ事でエンジンブレーキを強化するもので、長い下り坂で用いられる。 作動中は後部に排気ブレーキ作動中という表示灯が点灯するものが多い。 これも、何らかの理由で動作不良になればフットブレーキに頼らざるを得なくなる。

ただしブレーキに問題が無くてもブレーキの利きが悪くなることはしばしば起こる。 それは路面が凍結している、路面に砂や泥が流れこんでいるなどの場合に起こり得る。 雨後の山道に砂や泥が流れ込んでいて、ブレーキを踏むと片効き状態になってヒヤリとした経験がある人もいるだろう。 片効きがひどいと進路の維持は困難になる。 さらに道路全面が砂や土で覆われているとそのまま直進してしまう事もあるだろう。

今回の事故現場は砂防ダムの工事中だそうなので、雨で流れた砂や泥が路面を覆っていた可能性にも留意する必要があるだろう。 また、テレビの画像では路肩に濡れた落ち葉が積もっている様なのでこれに乗ってスリップした事もあり得る。

いずれにしてもテレビの報道だけでは、バスがどんなブレーキを装備していたのかを含めて情報不足で、今のところ部外者の憶測にしかならない。

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