継戦能力
太平洋戦争で日本の優勢が数ヶ月しか続かなかったのは、せんそうを継続するのに必要な工業力がなかったからだ。 山本五十六は早々に和平交渉を開始することを望んでいたが、日本にはそれに必要な外交力もなかった。
そして今、ウクライナでロシアが同じ理由で苦しんでいる。 数日で終わるはずの戦争が半年経っても終わる兆しが見えない。 また、ウクライナを降伏に導く外交力もない。 数ヶ月で米国が和平交渉に応じると高をくくっていた軍部と同じ失敗をしている。
一方で日本では防衛力強化を叫ぶ者達が増えている。 しかしその議論は開戦当初の防衛力や反撃力に集中していて、戦争継続能力の強化は忘れ去られている。 また、開戦後の交渉を有利にするための外交力も強化も議論されていない。
防衛力強化に必要なものは新型兵器だけではない。 外国からの兵站支援のほとんどを海上輸送に頼らなければならない日本には自前での補給能力と、国外からの輸送路を守る海路防衛能力も必要だ。 さらには動員できる十分な船腹も必要だ。 外国船は軍需物資の輸送を引き受けないだろうから、自国船をもっと増やす必要がある。
防衛力強化議論はこれらの全てを含めて行わねばならない。
最後にもう一つ。 戦争という物は巨額の費用を必要とする。 戦争をする前には財政的に十分な余力を持っていなければならない。 戦時国債を発行しようにも、今のほぼ破綻した国家財政では引き受け手がないだろう。
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