メタノール中毒
製薬会社の研究員がメタノールで妻を殺した容疑で逮捕された。
私は化学会社の研究員だったのでメタノールは様々な用途で日常的に扱っていた。 反応溶媒に使うこともあれば器具の洗浄や乾燥に使うこともあった。 毒性がある(他の薬品に較べて特に強いとは言えないが)ので、蒸気を大量に吸引したり口に入れないようには気を遣ってドラフト内や風通しの良い場所で扱っていたが、臭気が弱いので特段気になることはなかった。
とはいうものの、メタノールの毒性は昔からよく知られている。 その理由は第二次大戦後に流行した「バクダン」にあるのだろう。 「バクダン」は安価なメタノールを混入した密造酒で、安く酔い心地は良いのだが常用すると失明したり最悪は死ぬことがあると恐れられた。 実際に被害を受けた人も少なくなかったそうだ。 インドでは今でもメタノール入りの密造酒が流通していて、しばしば大勢の死者が出たと報じられている。
この様にメタノールには毒性があるのだが、混入した密造酒が後を絶たないのは少量では毒性が表れにくく、大量に飲んだりしなければ被害が表面化しにくいことにあるのだろう。
追記;メタノールの毒性は体内で代謝されて生成するホルムアルデヒド(ホルマリン)によるところが大きいと聞いている。
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