太陽黒点数と気候
今年は「ラ・ニーニャ」が原因で寒波が多いとテレビで説明されることが多い。 確かに「ラ・ニーニャ」や「エル・ニーニョ」と気候との送還はあると考えている。 しかし因果関係については疑問を持っている。
「ラ・ニーニャ」や「エル・ニーニョ」は東太平洋の赤道付近の水温が平均値から大きく外れる減少で、気象予報士などの説明ではこれが原因で偏西風の流れが変わるとされている。 しかし私はこれは部分的にしか正しくないと考えている。 「ラ・ニーニャ」や「エル・ニーニョ」が発生するのは、赤道上を服偏東風の強さが変化することだと考える。 偏東風の強さが代わると赤道上を西に流れる海流の強さが変わり、これが東太平洋で南北から引き込む寒流の流量に影響を与える。
さらに、海流や風の変化は低緯度から中緯度・高緯度への熱の運搬に影響する。 その結果、風が弱い「ラ・ニーニャ」の状態では海流も弱まり熱の運搬料も減少するので中緯度の温度は下がる。 逆に「エル・ニーニョ」の状態では熱の運搬が増加して中緯度の温度が上がることになる。 そして低緯度、中緯度、高緯度の温度差の変化は偏東風や偏西風の強さに影響する。 温度差が大きくなると風が強くなり海流を加速するし、温度差が小さくなると風が弱くなり海流が減速するので、全体としては負帰還となるので疑似周期的な現象となる。
気象専門家達はこの様な地球内の減少には注目するのだが、もう一つ忘れてはいけない要素がある。 それは太陽活動だ。 太陽活動の観測は400年以上続けられてきているが、その結果から太陽活動と気候との関係が経験則として指摘されている。 つまり太陽活動が盛んな(黒点が多い)時期には地球の気温が上昇し、太陽活動が低調な(黒点が少ない)時期には気温が下がる傾向があるのだ。 現在太陽は活動が低調で黒点が少ない「静穏期」に有り、これが「ラ・ニーニャ」による低温の影響を大きくしている可能性はある。
20世紀後半は全体に太陽活動が活発でこれが温暖化の後押しをした可能性があると考えている(*)。 しかし、21世紀は太陽の活動が低調になる可能性も指摘されており、これが温暖化ガスの影響と絡み合って予測を難しくしている。 現在の温暖化予測モデルに太陽活動の影響がどの程度組み込まれているかは知らないが、太陽活動の影響を組み込めることが出来れば予測精度は向上するだろう。
(*)記事「太陽活動と気候変動」September 09, 2012 を参照
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