脱プラスティックの盲点
自然に対するプラスティックゴミやマイクロプラスティックによる汚染を無くすため、脱プラスティックが声高だ。
脱プラスティックの手法として、ポリ袋やPETボトルを廃止せよと言う意見も強い。 しかしそこには重大な見落としがある。 それは衣料品その他の繊維製品だ。
衣料品にはPET(ポリエステル繊維)、ポリアクリロニトリル(アクリル繊維)、ポリアミド(ナイロン繊維)のほか、ポリプロピレン(パイレン繊維)、ポリウレタン(弾性糸,スパンデックス)、ポリビニルアルコール(ビニロン繊維)など多種の合成繊維が使われており、レーヨンなどの再生セルローズ繊維を除けばどれも生分解性が無い為、環境にいつまでも残留してマイクロプラスティックの原因となり得る。
現状の環境運動家はこれら合成繊維製品は無視しているようだが、消費量が多いので衣料品は別扱いとして良いのか疑問に感じる。
補足1;衣料用ポリエステルとPET樹脂は、メーカーによって若干の重合度の違いがあるかも知れないがどちらも「ポリエチレンテレフタレート樹脂」で化学的には同じものだ。 PETボトルのリサイクルでは、繊維に加工して衣料品やポリエステル綿として使われていることでもそれが分かる。
補足2;ポリアミド繊維には成分によって多くの種類がある。 6ナイロン、6,6ナイロンは衣料その他に古くから使われているが、最近では商品名ノーメックス,ケブラーなどの芳香族ポリアミドの使用も増えている。 芳香族ポリアミドは燃えにくく強度も高いので、難燃性内装材(新幹線の座席など)や防弾チョッキ、防刃服などにも用いられている。 これらは釣具や漁具への使用も多く、特に釣り人が使用後に捨てて帰るのが問題になっている。
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