いまだに続く土地神話
国交省の調査による土地の標準価格が下がったとメディアが大々的に報じている。 どうやらいまだに土地は値上がりする物という考えが続いているようだ。
土地の値上がりが最も強く信じられていたのはバブルの時代で、必ず値上がりするからと収益力を無視した価格で取引された。 そしてそれが目に余る状態になって批判を浴び始めると、国はそれまでの放任から一転して引き締めに転じた。 そしてその変化があまりにも大きかったので土地の価格は暴落してバブルが崩壊した。
なぜそのような事態になったのかについては放任した政府とともに金融機関の責任が大きい。 当時の金融機関は「財テク(ファイナンシャルテクノロジーの略語)で稼がない経営者は無能だ」といって借り入れを半ば強要し、その資金の運用先として土地投機を勧めた。 土地神話はその為に必要だったのだ。
その貸し付け促進ツールだった土地神話が今でも信じられているのだろう。 だから地価が下がるとメディアは大騒ぎする。
だが今回のコロナ騒動でそれも大きく変化するかもしれない。 大企業がリモート勤務のコストメリットに目を向け始めたからだ。 リモート勤務であれば、都心のオフィスは縮小できるのでテナント料を節約できる。 また、遠距離通勤に対する通勤手当も不要になるからだ。
リモート勤務には帰属意識や連帯意識を醸成しにくいと言ったデメリットもあるのだが、大企業はそれに対処する手法を研究してリモート勤務を多し勧める可能性がある。 そうなれば都心のオフィス需要が減り、賃貸料は引き下げざるを得なくなるだろうし、それは土地需要の減退にもつながる。
それを阻害するのは、都心の一等地にあるオフィスに勤務することがほこりであると言う従業員のエリート意識になるかもしれないが。 それは企業が人集めのために都心にオフィスを維持する動機になるだろう。
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