川沿いの高齢者施設
また、川沿いの高齢者施設が水没した。 何年か前の東北地方の大洪水でやはり谷間の川沿いの高齢者施設が水没した事がある。 その時は2階建てだったので上階に避難して死者は出なかったが、今回は平屋建てだったので逃げる場所が無く犠牲者が出てしまった。
前回の例で川沿いの低地にある事の危険性が指摘されたが、あまり参考にされることが無かったのだろう。 危険性を認識していても移転する土地も費用も無かったことは容易に推測できる。 高齢者施設や養護施設は経営資源が豊富ではない。 このために安く手に入る土地に建てられることが多いだろう。 100年に一度の水害の危険まで考慮していては施設が建てられないと言うこともあるだろう。
しかし温暖化の進行で海水温が上昇しているため降雨量が増え、100年に一度の豪雨が毎年数回はどこかで発生する状況になっている。 この100年以上積み上げてきた治水工事の前提となる統計的雨量予測が役に立たなくなって来ているのだ。 言い換えると、雨量と洪水防止能力とのバランスが昭和30年代以前に逆戻りしてしまっているようなものなのだ。
しかし大規模洪水に備える土木工事には莫大な費用と時間が掛かる地権者の権利調整が必要で、あちこちで一斉に工事を始めることは不可能だ。 また、各々の工事に年月が掛かるため国家百年の計の考え方も必要だ。 そこで今後は工事が完成するまで洪水と共存して生活するという考えも必要になる。 大規模工事の順番が回ってくるまでは、各市町村がそれぞれの予算で小規模の緊急避難場所を確保する、そんな考えが必要な時代になってしまっているのだから。
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