地方ボス問題
高浜町の当時の助役が関西電力の高浜発電所建設担当者らに多額の金品を送っていた問題は、メディアも世論も関西電力が悪いと言うことだけにして、彼らにそのような行動を取らせた背後の問題にはふたをして終わらせようとしているようだ。
しかしこのような事案は原子力発電所建設に限らず、公共事業や大規模開発には常に伴って発生している。 ただ通常蓋をされてメディアも表面化させないからだ。
このような事業を進める場合には地方の地元ボス(顔役)の協力が不可欠で、機嫌を損ねると事業がまったく進められなくなる。 これは昭和のみならず、遙か昔から続いている習慣だ。 かつてはやくざの親分衆がその役を担っていたが、今は多くの場合建設業界のボスがその役を務めている。
彼らは地元の建設業界に対する影響力が強いので、彼らの機嫌を損ねると入札に応じる業者すら集まらなくなるし、作業員も集まらない。 また彼らは地元選出の国会議員を通じて与党幹部とつながっていて官庁にも圧力をかけられる。 そこで事業者は地元ボスのご機嫌を取るための担当職員を置き、事前工作などを行わせている。 今回の関西電力の関係者はそのような地元ボス工作の担当者とみて間違いない。 地元ボスが自分に有利に事業を進めた担当者に利益の一部をキックバックして口封じを図ったと見るのが正しいだろう。
このような地元ボスは全国にいて必ず事業に干渉してくる。 今回は事業費と国からの交付金の総額が大きかったのでキックバックも大きかったが、どんな事業でも事業費に応じたキックバックはあるだろう。 企業側の担当者は通常は受け取りを拒むのだが、今回はすごまれて拒めなかったと見られる。 会社トップもそのことは知っていて、とりあえず保管しておきチャンスを見て返すよう指示していただろう。
このような地方ボスは、片手で国会議員を通じて与党の大物とつながり、もう一方の手ではやくざとつながっている。 地元住民もそのことはよく知っているが、やくざに対する恐怖と国と事業者から多額の交付金を引き出して地元の利益の諮ってくれると言うことから、皆地元ボスについては口を閉ざす。 下手にしゃべれば村八分にされるからだ。
と言うわけで、他の事業者や政治家についての暴露はメディアも避けるので、テレビのワイドショーでも関西電力の問題だとして他については避けて通るのが現状だ。
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