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September 26, 2019

トリチウム水の処理

福島第一原発でトリチウム含有水が増え続けていることが問題になっている。 希釈して放流することが検討されているようだが、トリチウムは核融合発電では燃料として利用できる貴重な資源だ。 ただ捨ててしまうのは勿体ない。

トリチウムとは陽子1個と中性子2個からなる原子量(質量数)3の水素の同位体で、原子量1の水素と区別する為にTと表記されることも多い、 

水素にはもう一つ同位体が有り、これは陽子1個と中性子1個からなる重水素でDと表記される。 核融合での利用(*1)が考えられているトリチウムに対して重水素は化学の分野で分子構造解析には不可欠だ。 また、重水素を含む重水は原子炉の中性子減速材として使われることがある。 重水素も貴重な資源なのだ。

(*1)トリチウムが半減期約12年で電子を放出(β崩壊)して生成するヘリウム3が核融合の燃料として考えられている。

ところでトリチウムを含む水からトリチウムを取り除くにはどうすれば良いのだろうか。 化学的に分離するのは難しいが、物理的に分離するのは費用を考慮しなければ質量差が大きいので重水素より容易だろう。

まず、トリチウムを含む水の全量を電気分解して水素と酸素に分ける。 酸素はそのまま大気に放出すれば良いので、水素をトリチウムを含むものと含まないものに分ける事になる。

ここでトリチウムを含む水(HOT;質量数20、またはTOT;質量数22)を多段遠心分離法や多段蒸留法で水(HOH;質量数18)から分離する方法もある。 しかし水素ガスの方が質量数(H;質量数2、TH;質量数4、T;質量数6)の比が大きいので物理的方法での分離はしやすい。 この質量の違いを利用して多段遠心分離法や多段蒸留法で、純粋のHだけを取り出す事を繰り返す。 そうすればトリチウムは後に残った部分に濃縮されて行く。 つまりトリチウムを取り出すのではなく後に残すのだ。

この方法は水の電気分解に膨大な電力が必要で極低温での操作も必要にはなるが、確実にトリチウム(および重水素も)を分離することが出来るだろう。 取り出された純水素は火力発電に利用して、消費する電力の一部(ごくだが)を回収するのも良い。 また、水素エネルギー用の水素ガスとして利用しても良い。 燃焼ガスは水なので温暖化には関係しない。

補足;
付け加えると、この過程で中間に残る部分にはトリチウムより遙かに含有量が多い重水素が濃縮されてくる。 現状米国などからの輸入に頼っている化学研究用(*2)の重水素を副産物として得る事も出来るかもしれない。

(*2)分子構造解析に多用されるNMR(核磁共鳴法)には重水素化溶剤が不可欠。

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