巨大噴火は起きない?
今日(2019/03/03)NHKーBS1で日本列島形成に関する番組を放送していた。 それによると、1,000万年前から300万年前にかけて、太平洋プレートの移動方向が北向きで日本列島にストレスがあまりかかっていない時期があり、この期間に巨大カルデラ噴火が多発していたという。 そして300万年前に太平洋プレートの動きが西に変わり日本列島にかかるストレスが強まると、巨大カルデラ噴火はなくなり我々が今見るような火山噴火が火山帯で起きるようになったのだそうだ。
その違いの原因として、日本列島が東から強いストレスを受けている状態では日本列島の地下に多数の亀裂ができるため地下のマグマ溜りが巨大化する前に出口を見つけて噴火が起きるのに対し、ストレスがかかっていないときには亀裂ができないのでマグマ溜りが巨大化しやすく、マグマ溜りの上の大地を支えきれなくなって崩壊するので巨大カルデラ噴火になるのだと説明していた。
そして現状では東からの圧力がまだ続いており、このため東北地方や北海道は速い速度で隆起し続けているのだそうだ。 と言う事は、番組中で説明されていた巨大カルデラ噴火の原理が正しいとすれば、地質学的時間で言う当面の間巨大カルデラ噴火の可能性はきわめて低いことになる。
ここまでは東日本の話になるが、別の番組では西日本に沈み込むフィリピン海プレートは北西に移動している為、西日本にも強いストレスがかかっているという。 だとすれば東日本同様、西日本においても巨大カルデラ噴火が起きる可能性はきわめて低そうだ。
だが、近い将来に巨大カルデラ噴火の可能性があると提唱する火山学者がおり、それを大々的に取り上げるメディアもある。 巨大カルデラ噴火が起きれば原子力発電所が危険にさらされると原子炉の安全性に結びつける主張も少なくない。 もっとも、原子力発電所が稼働し続けているであろう今世紀中に、そのような巨大カルデラ噴火が起きるのであれば数百万人規模の住人を疎開させなければならないが、それに備える事を要求する主張は火山学者の中にも皆無だ。
結局の所、火山学者にとっても差し迫った巨大カルデラ噴火の可能性を考える必要はないと言う事なのだろう。
それは別としても、江戸時代末期から明治時代にかけて磐梯山や渡島駒ヶ岳で起きたような山体崩壊を伴う大噴火はどこかで起きる可能性はある。 観光開発で火山周辺の人口は増える傾向があるので、そのような大噴火の兆候を早期にとらえて周辺の人々の疎開ができるような方策は必要だ。
追記;
上記をまとめると、巨大地震の可能性がある状況では巨大カルデラ噴火の可能性は低く、両者の可能性は裏腹の関係にあると言うことだ。
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