米朝首脳会談決裂の原因
米朝首脳会談が事実上決裂した。 テレビなどでは解説者が様々な見解を述べているが、原因は次の2点につきると私は考える。
その1は、米朝双方がともに前のめりになっていたため相手の送るサインを読み違え、過大評価した結果だと思う。 双方が相手が大幅な譲歩をすると勘違いしていたため、いざ実際に細部の話し合いを始めたときになって妥協点に達するのは非常に困難なことに気付いたと言う可能性がある。
もう一つは、トランプ氏が留守中に行われた聴聞会で元顧問弁護士のコーエン氏が、トランプ氏の指示に従って多数の違法な、あるいは違法ではなくとも不公正な行為を行ったと証言したことだ。 これにより米国内でのトランプ氏の足下に火が付きかねない状況になり、急遽帰国して対策に当たらざるを得なくなった事は見落とせない。 さらに安易な譲歩を行えば与党内の対朝鮮強硬派の離反も招きかねず、対処を誤れば弾劾にもつながりかねないとの判断もあったろう。
近年最弱の大統領となったトランプ氏だが、外交成果で失地回復というのは難しいようだ。
解説者達はどちらのダメージが大きいかも議論をしているが、もっとも大きなダメージを受けたのは韓国の文大統領だろう。 今回の会議後の制裁緩和を期待して動いていただけに、韓国内の失望、特に北朝鮮との経済活動再開を期待して準備を進めてきた財界の失望は大きいだろう。 韓国内の世論動向によっては、支持率向上のため単独での講和交渉や制裁緩和を公然と始めるかもしれない。 また、国内の不満を抑えるための定番ツールである日本非難をさらに強める可能性もある。
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