歴史的経緯の主張
北方領土にかんして、日本には歴史的経緯から見て日本固有の領土だから返還を求めるという主張がある。 しかしこれは戦争で奪われた領土に関しては国際的な説得力が無い。
なぜならば、そもそも戦争というものは領土の奪い合いであり、敗戦国の領土を奪うのは戦勝国の当然の権利になっている。 歴史を見ても陸続きの大陸では戦争の都度領土が移動されている。
たとえば「最後の授業」で有名なアルザス・ロレーヌ地域を見ると、近世以降だけを見てもドイツとフランスの間で行き来している。 たとえば、普仏戦争でプロシアがフランスから奪い、その後第1次大戦でフランスがプロシアから奪い返している。 この間、公用語の強制に対する不満や民族のプライドなどは語られているが、領土の移動自体には是非の議論はされていない。 さらに、もっと昔の小国家が多数有った時代までさかのぼれば、領土の移動は珍しくもない。 つまり領土の移動は戦勝国の当然の、言い換えると正当な権利として繰り返されてきたと言うことだ。
その観点から言えば、日本が歴史的経緯から見て日本固有の領土だから返せと言っても,国際政治的には全く説得力が無い。 グローバルスタンダードで言えば、要するに戦争に負けたことが悪いのだ。 さらに言えば、孫子が確実に勝てる戦争以外はしてはいけない(*)と言っていることを肝に銘じて、開戦を回避しなければならなかったのだ。
(*)有名な「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」は、「彼我の戦力を正確に分析して、確実に勝てる場合以外は戦争をしなければ負けることはない」と言う意味だ。
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