水蒸気爆発と噴火
本白根山で水蒸気爆発が起き、噴石で亡くなった人が出た。
いわゆる火山の噴火には マグマ噴出を伴う噴火と伴わない水蒸気爆発、そしてその折衷型の上昇したマグマが地下水と接触して起きるマグマ水蒸気爆発がある。 噴火はマグマの移動に時間がかかるので予知しやすいが、水蒸気爆発は間欠泉と同じ熱水現象で、始まると急速に進行するため前駆現象から噴出までの時間が短い。 このため有効な予知は困難だ。
水蒸気爆発は、地下の高温の場所に浸透した地下水が蓄積することによって起きる。 さほど圧力が上がらないうちに地表への出口が見つかると噴気孔や温泉になる。 しかし出口が見つからないと高温高圧の水の状態で蓄積していく。 そして圧力が山体の弱い部分を破壊するほどに上昇すると水蒸気爆発になる。
過去の水蒸気爆発では、先年の木曽御岳の水蒸気爆発のように前兆とされた現象もあるが、それが地下の水蒸気圧の上昇による物か、あるいは無関係な地下構造の変動による物でそれが水蒸気爆発を誘発したのかを見極めるのは難しい。 地下の高温高圧水の量が少なければ、地下で何らかの変動があっても水蒸気爆発には至らないので、前兆をとらえて警報を出しても空振りと言うことも十分にあり得る。 むしろ空振りの方が多いだろう。
要は地下にある高温高圧水の量と温度を知らなければ爆発を予測することができないと言うことだ。 しかしボーリングのような破壊検査ではかえって爆発を誘発する恐れもあるし、常時継続して行うこともできない。 従って水蒸気爆発の予測あるいは予報には、非破壊で地下の高温高圧水の量と温度を知ることができる方法の開発が必須だ。
本白根山については、今後しばらくは爆発でできた空洞や密度が下がった部分を埋める内部崩壊が続くだろう。 これが火山性地震や火山性微動として観測されて警報が出るかもしれないが、原理的に考えると同じ場所でのより大きな爆発はもう(地質学的時間でしばらくは)ないだろう。
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