寿命の問題
20世紀の中期から21世紀初頭にかけて実に多くの新技術が開発され、それを利用した設備や建造物が作られた。しかしそれらには大きな問題がある。それはおしなべて寿命が短いことだ。
ただ、それには理由がある。20世紀初頭から急速な技術革新が進んだ。このため、20年も経てば新技術が実用化されて現在の物は陳腐化し、50年も経てば使われなくなって廃棄されると言う考え方が、20世紀の中期から待つにかけては一般化した。そこで物作りに当たっては、19世紀から20世紀初頭にかけてのように数百年という長い寿命を想定するのはばかげている、もっとコストを優先した物作りをすべきだと言う考えが常識となった。
その結果、大半の物の設計寿命は20~50年で使用の限界に達するとされた。短い寿命を設定すれば高価な材料を多く使わずに済み、低コストで合理的だとお言うわけだ。
ところが、その頃に建設された建造物や設備の多くが現在も継続使用され、そのメンテナンス費の急増が問題となっている。そもそも設計寿命が過ぎた物を使い続ける事が問題なのだが、数が多いためそれらのスクラップアンドビルドの費用がまかなえない。国民や政治家、そして業者が新技術を使った新施設を要求するので、そちらに費用が取られるからだ。
かくして、十分なメンテナンスができず、かといって立て替えもできない劣化した建造物がどんどん増加して行く。
その一方で、新しい建造物や設備はどんどん作られて行く。私はこれらの維持にかかる後年度負担が、予算としてきちんと計上されているのかどうかが気になって仕方がない。
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