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July 14, 2016

天皇の「反乱」

皇族は国民ではないとされているので、憲法が国民に保証する基本的人権は認められていない。このため政府(内閣)関係者には天皇が内閣の道具であると考えているとしか思えない発言をする者が多い。たとえば、天皇は内閣の都合に合わせて動いてもらう、勝手な発言は困るなどだ。要するに、皇族は内閣の意に沿う発言しか許されていないのだ。

そこへ今回の天皇が退位を望んでおられるとの情報が流れたので、政府関係者は慌てふためいている。宮内庁の次長が情報を否定し、内閣官房長官がそれを指示したことにそれがよく現れている。数年前から退位の意向を示されていたとの情報の流れているが、それが正しいとすると内閣と宮内庁がそれを隠していたのだろう。そして、天皇の意志が尊重されないことに業を煮やした天皇の側近が、おそらくは天皇の指示によって外部に語ったのではないかと考えられる。だとすると、これは宮内庁と内閣に対する天皇の「反乱」だ。

歴史を振り返ってみると、平安時代以降天皇自身の意志に沿って政治が行われたことはほとんど無い。ほぼ常に、重臣の決定を天皇の意志としてきたからだ。これは明治以降も同じで、重臣たちが物事を決め、天皇がそれを追認するという形で全てが行われてきた。現在もこれは全く同じで、重臣が国会議決に変わっただけだ。

近代のごくまれな例外は「終戦の詔勅」で、これは敗戦を認めず戦争を引き延ばし続ける軍部と内閣に業を煮やした天皇が独断で発したもので、これを放送するには玉音盤を命がけで持ち出した側近の働きがあったと伝えられている。これは内閣に対する天皇の「反乱」と言って良い。

今回再び天皇の意志が宮内庁や内閣の承認なしに外部に伝えられたのは、天皇が業を煮やした末のことと考えるべきだ。自分たちの都合に合わせて天皇を支配しようとする保守政治家や宮内庁高官は、不敬の罪を犯していると言われても仕方が無い。

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