炉心溶融隠し
東京電力が福島第一発電所の炉心溶融を隠したと非難されているが、私は同じ事をメディアにも言いたい。
なぜならば、事故2日目の午後には各メディアは炉心温度が2,000℃を超えたと報道していたからだ。報道する炉心温度が3,000℃に近くなると、今度は急に炉の表面温度が400℃などと変えられた。そもそも炉心や燃料体に使われている金属材料は比較的融解温度が高いものではあるが、タングステンやタンタルのような耐熱性はないので、1,500℃ほどになると主要材料であるステンレススティールが、さらに2,000℃にもなると燃料被服材料のジルコニウムも溶けてしまう。燃料のウランも酸化物であればともかく、金属状態であれば1,500℃ほどで融解する。
と言うわけで、そんな温度を報じながら炉心溶融を疑わなかったことはおかしいし、報道する温度を炉心温度ではなく炉体表面温度に切り替えた時点で、炉心が溶けていることは承知していたはずだ。そこに思い至らなかったとすれば、各メディアの科学技術担当部門は大学で学んだはずの基本知識から学び直せと言いたい。
以上から、各メディアは炉心が熔けているのを知りながら、故意にそれを報道しなかったと私は考えている。
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さらに言えば、炉心溶融が起きていた可能性が高いと言う発表は、2011/05/28にすでに行われていたのに、今更のように炉心溶融隠しとして騒ぐのはなぜだろうか?今になって報道することで利益を得られる者がいるのだろう。
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