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April 13, 2016

レーザー駆動宇宙船

ホーキング氏らが、地上からのレーザー光照射で推進する小型探査機で近隣太陽系の探査を行う事を提案したと報じられている。

原理は太陽ヨットのような光子帆を持つ宇宙船を打ち上げ、これに地上から強力なレーザー光を照射して推進すると言うもので、SFの分野では古くから登場しているアイディアだ。特徴は地上から照射するので、宇宙船自体は推進剤を積む必要が無く小型軽量に作れると言うことで、照射時間の制限も原則としてないので長時間推進することが可能だ。

ホーキング氏の案では短時間で高速の20%まで加速できると言うことだが、材質の耐熱性や目的地で軌道を変更したり減速するための燃料を考えると(地上からの支援がないため、全て自前で行う必要がある)、ホーキング案よりは弱いレーザー光で長時間照射する方が良いかもしれない。

いずれにしても、レーザー照射用のエネルギー源として原子力発電所一基分ぐらいの電力が必要になるだろうし、多数の大出力レーザーを設置するための広い敷地も必要になる。これらをどうするのかの検討も必要だ。

補足;
このほかにも難題は多数ありそうだ。

まず、長時間強力なレーザー光を受ける宇宙船の材料をどうするかが問題だ。宇宙船本体は、レーザー光で加熱されないようこれもしばしばSFに登場する共役反射鏡並に反射率が極めて高い材料で包んでおかなくてはならないし、その反射材料自体も耐熱性が極めて高くなければ長時間の照射には持ちこたえられないだろう。これは照射エネルギー密度が制限される事を意味するので、照射時間はホーキング氏の案より相当に長いものになるだろう。

また、強力なレーザーはそれ自体の冷却が必要だが、ごく僅かではあれ大気が光を吸収したり散乱したりするため、大規模に密集して設置すると上空の大気が加熱されて局地的に激しい気象現象を発生させる可能性がある。これを避けるには小規模な設備を分散して配置すれば良いが、上空を航空機が通過せず軌道上の衛星に悪影響を与えない場所を慎重に選ばなくてはならない。ただ、上空を航空機が通らず、大気がきれいで吸収や散乱が少なく、雲がかかることも少ない場所と言えば、これは天文観測の適地と同じだ。天文台の近くに大出力のレーザー照射基地を作ると、大気による散乱光が観測の邪魔になりそうなので、適地の奪い合いになるかもしれない。

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