十字軍
十字軍は、イスラム教徒に占領されたエルサレムをキリスト教徒の支配下に取り戻せとのローマ教会の呼びかけに応じて集まったキリスト教徒の軍隊だ。そしてローマ教皇を奉ずる西欧の国々では正義の軍隊とされており、西欧のキリスト教史観を正統世界史として教える日本の学校でもその様に教えている。
しかしイスラム教国では、神の正義に逆らい略奪や破壊を行った悪の象徴とされている。実際、初期を除くと十字軍参加者には略奪を目的とする者が多かったようで、聖地奪回をそっちのけにして各地で略奪を行った。さらに、後期には同じキリスト教国でありながらローマ教皇に従わない、正教を奉じる東ローマ帝国の首都であるコンスタンチノープルまでを略奪して弱体化させて滅亡への端緒を開いた。
と言うわけで、十字軍はローマ教会圏では正義の象徴だが、イスラム圏では悪の象徴だ。従って、キリスト教国が対テロの十字軍を送ると言えばイスラム教徒は反発し、イスラム過激派が十字軍を叩くと言えばイスラム教徒から広く共感が得られる。言ってみれば、十字軍が双方の「錦の御旗」(これは日本でしか通用しない言葉だが)になっているのだ。
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