愚かな米国のシリア戦略
ロシアがシリアに本格的に介入し始めたことでシリアのバランスが微妙に変わり始めるだろう。
これまで米国が行ってきた、政府側を少し叩き、それによって反政府側のISの勢力が増すと、今度はISを少し叩く、これはどんな兵法書でも愚とされるやり方だ。こんなやり方をしていてはいつまで経っても戦争は終わらない。むしろ終わらないままにしておきたい時にとる戦略だ。米国はシリア(イラクもだが)どうしたいのか?この地域の混乱を終わらせる気があるのか?と言わざるを得ない。
戦争が続けばヨーロッパに押し寄せる難民の大群はつきることが無い。中東の、そしてヨーロッパの混乱を終わらせるには、まずどちらか一方を潰し、その後もう一方を潰すべきだ。そして最初に潰すのはどちらかと言えば、一時的にでも勝っては不都合な方に決まっている。
それがどちらかは言うまでも無いが、西欧が一度は荷担した手前、それを潰すのは道義上不都合ではある。しかし、西欧が供給する武器の多くがそのままISに流れていく現状では、IS以外の反政府勢力が味方とは言えない。それを考慮すれば、道義だの体面だのと悠長なことを言っていられる状況ではあるまい。また、「イスラムの春」に加担して武器援助を行ったこと自体、西欧の安全と利益にとって正しかったのかが疑われる状況になっていることも考慮しなければならない。
現状ではロシアの、ひとまず過激なイスラム勢力を潰そうという戦略の方が、どんな軍事理論に照らしても正しい。もっとも、これはあくまで軍事理論上の話で、「人道」上何が正しいのかは今の私には判断しかねる。
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