レタッチソフトの比較
これまで使ってきたスキャナが壊れて買い換えたところ、これまで使ってきたレタッチソフトとの相性が悪くなった(複数枠の連続読み込みができない)のでレタッチソフトも更新することにした。候補は下記の4種で、いずれも試用版があるのでそれをメーカーのサイトからダウンロードして、使い勝手やスキャナーとの相性などを較べてみた。
1.Photoshop Elements 13 30日間試用版(Adobe)
2.Corel Paintshop Pro X7 30日間試用版(Corel)
3.Zoner Photo Studio 16 30日間試用版(Zoner)
4.CyberLink Photo Director Suite 6.0 試用版(CyberLink)
要約;
1.Photoshop Elements 13 30日間試用版(Adobe)
64bitOSにインストールすると32bit TWAINドライバーを認識しないので、64bitドライバーのないスキャナーとは相性が悪い。
取り扱えるファイル形式が多く、PNGやJXRのほかPSDなどの独自形式で48bitカラーも取り扱える。
ネガスキャン時のゴミキズの除去は除去ツールで上からなぞるだけで簡単。各種ツールやエフェクト等の種類は豊富で、操作方法やインターフェースもデファクトスタンダードだけに一般的。
2.Corel Paintshop Pro X7 30日間試用版(Corel)
32bit版と64bit版の両方がインストールされる。64bit版では32bit TWAINドライバーは認識しない。
取り扱えるファイル形式が多く、PNGやJP2(JXRは不可)のほか各社の独自形式で48bitカラーも取り扱える。
ゴミキズの除去は除去ツールで上からなぞる形だが、塗りつぶしパターンの参照元を指定する必要がある。その他のツールやエフェクトも豊富で、インターフェースもほぼ一般的なもの。
画像を自動的につなぎ合わせてパノラマ写真を作る機能は無く、面倒な手作業でのつぎはぎが必要。パノラマ写真を作るのが好きな人は要注意。
3.Zoner Photo Studio 16 30日間試用版(Zoner)
32bit版と64bit版の両方がインストールされる。32bit版、64bit版とも32bit TWAINドライバーを認識する。スキャナーの機種に対する対応性はもっとも良いと思われる。
書き出せるファイル形式が少なく、PhotoShopのPSD形式は書き出せず読み込みのみ可能。ただし、PNGやJXRなど48bitカラーで保存できるファイル形式も取り扱える。
ゴミ除去は除去ツールで上からなぞる形だが、塗りつぶしパターンの参照元を指定する必要がある。また、ツールの設定によっては思ったような効果が得られない場合もある。その他のツールやエフェクトも豊富だが、全体のインターフェースは独特。ただしわかりくいことはない。
4.CyberLink Photo Director Suite 6.0 試用版(CyberLink)
スキャナーからの画像取り込みには対応していない。カメラからの取り込み、またはすでに保存されている画像ファイルの読み込みのみが可能。ただし、読み込めるファイル形式はJPEGとTIFFおよびカメラRAWのみと少ない。保存形式もJPEGとTIFFのみで、デジタルカメラの画像処理に特化したものと考えると良い。
調整や細かな修正に特化しており、ドローイング系のツールはほとんど無い。その代わり、代表的なカメラレンズのひずみやピネッティングなどのデータを内蔵しており、自動的に補正する機能がある。カメラしか使わず、パノラマ写真を作るのが好きな人には歪みの修正が簡単にできるので便利かもしれない。
【所見】
私はネガフイルムのスキャンを頻繁に行うので、スキャナーのTWAINドライバー(EPSON Scan)を認識して連携できることが必要である。この点から、候補はCorel Paintshop Pro X7 または Zoner Photo Studio 16 のどちらかに絞られる。後はキズ消しや各種修正時の操作性だが、これについてはもう少し使って見ないと結論は出しにくい。
まれに大サイズの原稿をスキャナーから分割して取り込み、後でつぎはぎする事もある。この場合はパノラマ写真自動作成機能があると楽だが、手作業でしかできない Corel Paintshop Pro X7 は不便だ。
【補足】
これまで主に使ってきたのは Justsystem の花子に付属する簡易レタッチソフトの花子フォトレタッチ3だ。これには最小限の機能しかないが、ブログなどに上げる画像の処理に便利な点がある。
その1は、サイズを直接にピクセル数で指定してリサイズ(縮小・拡大)ができる点で、わざわざWeb転送用メニュー等を使う必要が無い点が便利だ。また、JPEG形式で保存する際にExifデータを付加する機能がないので、うっかり消し忘れてアップロードしてしまう危険がないのがよい。さらに、色調調整を色相移動方向と移動量をタイル状のパレット形式で指定できるのが直感的でわかりやすい点だ。高度の機能はないし便利機能の種類も少ないが、余計な神経を使わなくても良い点で簡易レタッチソフトとしては良くできている。
しかし今回新しいレタッチソフトが必要になったのは、フイルムの複数コマの連続取り込みができなくなったことと、新スキャナーのキズ消し機能が弱いためキズ消し機能が強力で使い勝手がよいソフトが必要になったからだ。なお、以前のスキャナーはキズ消し機能が強力だったので、キズ消し機能がない花子フォトレタッチ3でもネガフイルムの取り込みに不都合はなかった。
また、以前には Adobe Photoshop Element 7 も使っていたことがあるが、Web用としては花子フォトレタッチで十分なため、48bitカラーで色や明るさの調整を行いたい場合のみに使い日常的には使わなくなっていた。
それやこれやで今回レタッチソフトも最新のものに一新することにして、上記の4種を試用版で比較してみることにした。
【比較各論】
1.インストール
ダウンロードした試用版のインストールの際、CyberLink Photo Director Suit 6.0 のインストーラー(実際はダウンローダー)がストールするためインストールできなかった。これについてメーカーに問い合わせたところ、公式サイトでダウンロードできるインストーラーとは別の試用版のパッケージをダウンロードできるサイトを紹介され、このパッケージを用いるとインストールできた。
その他の3種については、会員登録を要求されるなどの面倒はあるが、インストールに特段の問題はなかった。
Corel Photoshop Pro X7 と Zoner Photo Studio 16 は32bit版と64bit版の両方がインストールされ、どちらも利用可能だ。Photoshop Elements 13試用版はひとつだけがインストールされるが、OSを解析して32bit版か64bit版の一方がインストールされるのだろう。私の場合は、ヘルプのバージョン情報に64bit版と表示される。
2.スキャナーとの相性
ネガフイルムの取り込みを頻繁に行うので、私にとってスキャナーとの相性は重要だ。スキャナー付属の取り込みソフトでいったん保存してから、レタッチソフトにかける手もあるが面倒だ。またハイライト部分や暗い部分の階調の微妙な調整を行いたい場合には、48bitカラーで取り込んで調整後に24bitカラーで保存したい事もあるので、直接レタッチソフトに取り込める方が好ましい。
この点については、Adobe Photoshop Elements 13試用版 とCorel Paintshop Pro X7試用版の64bit版は EPSON GT-X830用のドライバー EPSON Scan を認識せず、汎用WIAドライバーのみが使用可能だった。汎用WIAドライバーでは、スキャナーの機能の一部しか使えず、ネガの複数コマの同時取り込みもできないので具合が悪い。どうやらこれらには64bit版TWAIN ドライバーが必要なようだ。
Zoner Photo Studio 16試用版は32biti版と64bit版のどちらでもEPSON Scanを認識し、スキャナーの機能をフルに使うことができた。
また、CyberLink Photo Director Suit 6.0試用版にはスキャナーからの取り込みというメニュー項目が無く、スキャナーからの直接取り込みには対応していない。取り込み元としてはデジタルカメラのみを想定しており、スキャナーからの取り込みはスキャナーの付属ソフトなどで取り込んでいったん保存してから、それをレタッチソフトに読み込んで処理してくれと言うことなのだろう。
64bit版アプリケーションでTWAINドライバーが認識されない状況は Canon Pixus MG6230 複合プリンターのスキャナーでも同じで、スキャナーを使うことが多い人は64bit用TWAINドライバーの有無を確かめておく方が良いだろう。
3.ゴミキズ消し
ネガからの取り込みではゴミキズ消し機能は必須であり、その操作性はソフトの利用価値を大きく左右する。
キズ消しに関しては、Adobe Photoshop Elements 13試用版は、ただ消したい部分をなぞるだけで良くもっとも簡便だ。他の3種はいずれも参照場所を指定してからキズの上をなぞる必要がある。この場合、参照場所が不適切だとおかしな結果になるので慣れが必要だ。
ゴミキズより大きなスクラッチキズ等については、消すための専用ツールが無いものもあるが、その場合はオブジェクト除去機能などでほぼ代用できるようだ。
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