平成の市町村大分割
政府が半ば強制的に行った「平成の大合併」だが、過疎化や災害対策に何してはデメリットの方が大きかったように思う。
理由は、末端自治体のスタッフを一カ所に集めて分野ごとに縦割りにしたことにある。この為に、担当者は現場の詳細な実情を把握することが困難になり、きめの細かい行政活動を行えなくなったからだ。
これは住民サービスの統合と集中をもたらし、中心市街地以外での住民サービスの劣化をもたらした。その結果、周辺地域での生活はますます困難になり、その様な地域の住民を流出させ、結局は過疎化と高齢化を促進した。
これを逆転させるためには、フランスやイタリアなどの地方自治体系が参考になる。これらの国でも小さな村や町は多数存在するが、その小ささをうまく利用して低コストで行政を行っているように見える。
これらの国の地方自治は、大都市と県(州と翻訳されている例もある)からなり、県はさらに市町と郡で構成される。郡はいくつかの村や小さな街で構成されるがこれらの町村は独立した自治体となっている。
各町村には町村長と議会があるが、町村長は専従ではないことが多く、議員もほとんどが無給だ。また、最小限の専従職員がいるが、小さな村では職員がいないことも多い。そして、各町村の代表者が集まって郡議会を構成し、個々の町村単独では実行できない事業を行う。これを実行するために郡には郡役場も置かれ、最小限の職員がその業務に従事する。
このような形を取れば、郡役場の職員が現地の詳細な状況を知る必要が無いので業務量が少なくても済む。また、郡が業務縦割りの専門家集団でも不都合は生じにくい。現地の実情の詳細は、その土地をよく知る町村の長や職員を通じて入手できるからだ。
このようなやり方をすれば、現地の実情に応じたきめの細かい行政サービスが可能になる。行政サービスの質を向上させ、過疎化や高齢化を食い止めるためには、「平成の市町村大分割」を行い、郡を行政単位に昇格させて活用することを考えても良いのではないだろうか。
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