水プラズマで物質消滅?
2014/11/09にMBSで放送された「夢の扉+」の内容に首をかしげてしまった。
番組では、水を電気放電でプラズマ化したものを用いると、廃棄物を消滅させることができ、排ガス処理などの後始末が不要だと主張していた。この主張が開発に当たっている教授のものか、番組制作者の思い込みなのかは分からない。しかしこれは誤りだ。
なぜならば、超高温プラズマで処理対象をプラズマ化しても元素そのものは分解しない。温度が下がれば電子が原子核に捕らえられて通常の物質に戻るからだ。通常物質に戻った直後は原子がばらばらになっているだろうが、単独原子は不安定なのですぐに周囲の原子と結合し、ガス状物や微粒子(PM)からなる排ガスが生成する。つまり、被処理物に含まれていたハロゲンや重金属などの有害元素はそのまま排ガスに含まれる。従って、これを後処理無しで大気中に放出すると環境汚染を引き起こす。つまり後始末が不要というのは誤りなのだ。
移動処理装置としてトラックに搭載したものの映像では、塗装ブースと同じように前方の壁に水を流して水膜を作ってPMを捕捉しようとしていたが、この場合水膜に用いた水に有害物が含まれる。従ってその水の除害が必要になる。この点でSFに登場する物質消滅装置(アニヒレーター、質量エネルギーコンバーターなど)とは根本的に異なる。
「後処理が不要な廃棄物消滅装置」というのは、インパクトの強いコメントを望んだ番組制作者の過剰表現で、研究している大学教授の見解ではないだろうと思う。しかし、もし教授が本気で排気の後処理が不要と考えているのであれば困ったものだ。そうでないことを望む。
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