暴走し始めた?アベノミクス
このところの急激な円安で弊害が出始めている。
アベノミクスでは、物価上昇で企業収益が改善されて好景気になると主張する。さらに、円安誘導で輸出増加を図りそれを後押しするとした。しかしそれはうまく行っていないように見える。
なぜならば、大手輸出企業はすでに海外に製造拠点を整備し、売り上げの多くを海外の製造子会社の製品に依存しているからだ。そのため、すでに日本からの輸出比率は低いので、これが少々伸びてもたいした金額にはならない。また、EPAなどの経済的囲い込みが拡がっているため、そのそれぞれの圏内に製造拠点を作りそこから輸出する方が税金や手続きが簡便で輸送費も安い。これが円安誘導によっても輸出が伸びない原因だ。
さらに、円安で海外子会社からの送金の円換算額が増えても、それは株主への配当や役員賞与に回り、国内雇用者の給与には配分されない。この為、円安で国内の雇用者が利益を得ることはほとんど無い。この為、円安が勤労者の所得増に寄与するとは考えにくい。
その一方で円安は輸入品の価格を押し上げ、エネルギーや原料のほとんどを輸入に頼る製造業のみならず、輸入品比率が高い日用品や雑貨の価格も押し上げることにより流通小売業も圧迫し始めている。
特に安倍政権が成立して以来の円安は15%を超えており、一般的な原価率を考慮すると製品価格を5%近く押し上げていると考えられる。一方、勤労者全体で見ると給与はほとんど上昇していない。つまり、急激な円安はむしろ一般消費を冷え込ませている可能性がある。
これを修正するには、円高に誘導して物価上昇を給与増以下に押さえ込む必要がある。しかし、これはアベノミクスを根底から否定する事になるのでこの政策は採られないだろう。さらに言えば、現状円高誘導に利用できる手段は安倍政権にはない。為替相場操作に通常利用される利上げは使えないからだ。つまり、経済の現状は安倍政権にとっては制御不能になりつつあると言うことだ。
暴走し始めた円高による不況を避ける手段があるのかどうか。現在の高級官僚や日銀上層部の多数を占めるマネタリストに、その知恵があるとは思えないのだがどうだろう。
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