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« 2014年9月 | Main | 青松虫(2014/09/02) »

September 02, 2014

デング熱騒動

以前から可能性が言われてきた、「デング熱」の国内感染が確認されてメディアは大騒ぎだ。重症化率はインフルエンザ並なのだが、メディアは重症化の可能性を強調して不安を煽ろうとしている。

今までの感染は皆、代々木公園で蚊に刺されたことが原因とされており、東京都は殺虫剤散布に懸命なようだ。しかし、代々木公園の全域に殺虫剤をまくことはできても、隣接する明治神宮の森は生物が自然状態に保護されているため、全域に殺虫剤を撒くことは不可能だろう。そもそも、神宮の森に殺虫剤を撒くことが許されるかどうかも疑問だ。従って、蚊の撲滅という意味では効果に疑問がある。

炭酸ガス排出増による温暖化や都市化による温暖化によって、本来は熱帯性の蚊が日本で繁殖するようになり、同じく蚊(ハマダラカ)が媒介する「マラリア」とともに日本国内への常在化の可能性も指摘されている。しかし、これらの媒介蚊を撲滅するには殺虫剤をやたらに撒く必要があるので事実上不可能だ。従って、これからはこのような熱帯性の病気ともつきあって行かなくてはならないのだろう。

補足;
「デング熱」を媒介する「ヒトスジシマカ」は黒地に白の筋や斑点があり、日本にも原産する「ヤブカ」の仲間だ。これからは他の蚊も含めたいわゆる「ヤブ蚊」に刺されても大騒ぎする時代になるもかもしれない。

他に蚊が媒介する病気としては、前記の「マラリア」の他に、「日本脳炎」、「フィラリア症」、現在米国で拡がりつつある「西ナイル熱」などもある。

また、ワクチンや特効薬が無いとも騒がれているが、発症しても症状が軽く済む(注)ため、多発地帯の途上国では医者にかかるものが少ない。この為、製薬会社にしてみれば開発費をかけても売り上げで費用を回収する見込みが無いことが原因だろう。ただし今後さらに温暖化が進み、いわゆる先進国地域での感染・発症例が増えれば事情が変わるかもしれない。

注;感染者が発症する割合は、記事によって異なるが10~50%(25%と言う記事もある)であり、発症後死亡する率も低い。CNNの記事では、昨年(2013)流行したシンガポールでは発症者が約12,000人にたいして死者は4人だった(致死率約0.04%)と報じられている。B級メディアは盛んに恐怖を煽ろうとしているが、適切な対症療法を受けていればこの病気による死亡は例外的であると考える方がよい。

追記(2014/09/02);
代々木公園のような都会の大きな公園には、たむろして夜明かしするなど長時間を過ごす若者や、公園内に居住しているホームレスが相当数いるはずだ。彼らの中に症状が軽い感染者(細菌であれば保菌者だがウイルスでは何というのか?)が複数いる可能性もある。このような者たちを狩り集めて、強制的に検査と治療を行う事も考えるべきだ。

追記(2014/09/04);
その後の調査でウイルスを保有する蚊が見つかり、代々木公園の大部分が閉鎖されることになったと報じられている。しかし代々木公園を閉鎖しても、夜間公園で過ごす若者やホームレスなどの未発症感染者が他の公園に移動して、感染源が拡散することもあり得る。

また、蚊の飛翔力が弱いので50m~100mしか移動しないとも報じられている。しかしこれは風を考慮しない場合のことで、風に舞いあげられてもっと長距離を移動することはある。マンションの上階で蚊がいることがあるのは風に飛ばされてやってきたためだ(注)。風次第では長距離を移動することもあると考え、なめてかからないことだ。

注;エレベーター内で蚊に刺されることもあるので分かるとおり、蚊が人と一緒にエレベーターで上層階に移動することもある。風が強い高層階から吹き飛ばされた蚊は、どこまで移動して行くのやら。

後続記事;「デング熱拡大

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Comments

こんにちは。はじめまして。su_suです。
よく調べておられ感心しております。
私はデング熱や蚊の研究者ではありませんが、多少医学的な知識がありますので補足させていただきます。
病気を媒介する蚊の側から言うと、国内の蚊は100種類ほど。血を吸う蚊は50種程度です。
公衆衛生的には、ウエストナイル熱はイエカ、ヤブカで媒介します。デング熱ではヒトスジシマカです。
媒介する蚊の種類の違いは、吸血した蚊とウイルスの組み合わせが問題のようです。蚊の吸血は産卵のための栄養摂取が目的なので、腸で消化吸収されます。
ウイルスが動物との間でやり取りされるためには、蚊の消化・吸収を免れて蚊を重症でない感染症にする必要があります。ウイルスによっては感染で蚊を殺したり、消化や免疫で感染できないことがあるので、媒介する蚊と病気の組み合わせに限定を生じるようです。また、次の動物を感染させるには、前もって蚊の唾液腺で増殖している必要があります。産卵を終えて次に吸血するとき、唾液(動物の血が固まらないよう処理)に増殖したウイルスが分泌されないとサイクルが継続しません。

蚊の生態も問題です。エレベータや家に入ってくる蚊は主にイエ蚊です。ヒトスジシマ蚊はヤブカの一種で公園や山野で指される可能性があります。山野の蚊は、発病前日から4日後の体調不良をおして登山や沢登りにくる人の血を吸う可能性がありますが、続けて人に感染させるのはまれです。デング熱の場合、野山の動物に仮に侵入してもし、免疫で排除され媒介しないようです。ヒト蚊ヒトに限定的というのはそういう意味でしょう。

報道で以前も流行したとありますが、太平洋戦争中、帰国者が感染源となって、関西を中心に国内感染がありました。仮に、イエ蚊が媒介しうるとすると、蚊とともにウイルスが越冬する可能性があったのですが、日本脳炎と違い越冬せず、幹線は限定的だったようです。

厚労省ホームページによると医療機関向け情報は8月27日付が最初のようです。それと同時か少し前に、自治体や医師会経由で情報がデング熱の流行について情報が流れているはずです。全国的に関心が高まれば収束は早いはず。
同じサイトのデータに、公表前から普段から稀な病気に感度の高い医師がいて、遅くとも8月中旬には診療し、原因特定につなげたはずであること。サイトデータから発症時期のグラフを作ると、多発時期が8月下旬で、その後収束しているように見えること。また、公園を封鎖したため今後の再感染は起こりにくいとが予想されます。
役所の対応のまずさを批判する向きがあるようですが、大筋でやるべきことをやっているのでは?。

蛇足の推論:
代々木公園で蚊に刺されて発症した家族と寝ていて、一緒にイエ蚊に刺されても感染しない可能性が高い。
長文でした。あしからず。

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