研究不祥事の根底にあるもの
最近研究不祥事が話題になることが多い。その根底にあるものは何だろうか?それは行き過ぎた成果主義だと思う。
研究不祥事の原因としてよく言われるのは名誉欲や派閥間の手柄争いだが、最近はそれとは異なる原因があるように見える。それが行き過ぎた成果主義だ。
最近の華やかな先端的研究は、高額で大がかりな設備や実験材料そして人手を必要とする。それはつまり多額の研究資金が必要になると言うことだ。その一方で国家の研究予算は縮減され、先端研究の多額の費用をまかなうために「選択と集中」を強いられている。
選択とはつまり「切り捨てる」と言うことだ。国家の研究資金補助は1~5年で期間を切られている。さらに研究を続けるためには再度研究資金補助を得る必要があるが、そのためには成果が上がった事を示さなければならない。それができなければ「選択」から外れ切り捨てられる。切り捨てられれば、自分が研究を続けられないだけでなく、研究員や補助員の人員整理も必要になる。従って、何が何でも成果があると見せかけねばならないこともあるだろう。
今回のものも含めて、不祥事の背景にはこのような研究界の経済的事情もあるように思えるのだ。
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