4Kテレビ普及の前提条件
家電メーカーは4Kテレビの普及に入れ込んでいるが、現行の2Kテレビの普及にはアナログ放送終了という強制が必要だったように、4Kテレビの普及にもいくつかの前提条件がありそうだ。
それには設置スペースや低価格化以外にも番組内容(流行に習って言えばコンテンツ)も重要な要素となる。現在番組の大半を占める、お笑いタレントを使った各種バラエティやワイドショー、再放送が多いミステリー、ショッピングやアニメなどは4Kである必然性がないからだ。これらには2Kどころか1Kテレビでも十分なくらいだ。
各地の世界遺産や名所旧跡を紹介する旅番組であれば、4Kのメリットがあるかもしれない。しかしそれも、高ズーム比のレンズをつけた小型カメラでは収差の大きさが目立ってしまう。現行の2Kですら、中央部以外には色のにじみや歪みなどの収差が目立つことが多いからだ。4Kではこのような収差がさらに目立ってします。従って、低収差かつ高解像度のレンズをつけた中型以上のカメラを使わなければ意味がなさそうだ。高ズーム比で低収差のレンズは相当に大型かつ非常に高価になるだろうから、カメラも高価になることは間違いない。
と言うわけで、4Kテレビの普及には高解像度が生きるよう放送コンテンツの改善も重要だ。ただし上記の理由で制作費がかさむ可能性が高い。従って、経営難にあえぐ各放送会社に4K用番組の量産ができる資金力があるのかも問題だ。2K番組のアップコンバートばかりでは、4Kテレビ普及の推進力としては不足だろう。さしあたり、NHK以外は量産できそうにもない。しかし、NHKは2年後に試験放送が始まる8K放送の開発元として、4Kにはあまり力を入れないかもしれない。
もっとも、家庭用のテレビセットのサイズを考えた場合、8Kは非常な無理がある様に思うのだが・・・・。
また制作費が高騰すると、現状すでにコンテンツ不足を来し始めている地上波放送に、BS同様に安価な埋め草としての韓ドラや華ドラが大量進出してくるかもしれない。そうなれば、テレビ離れがますます深刻になる可能性もある。4Kテレビの普及には、まず4Kにふさわしいコンテンツをそろえることが必要だ。
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