臓器再生への一歩
CNNが2014/02/15付け記事で「米研究チームが世界初のヒト肺の作製に成功」と報じている。
記事によれば、死亡した子どもの肺から細胞を支える骨格を取り出して利用し、新たな肺を作り出したのだという。作成した肺が機能するかどうかは今後の課題だと言うが、再生移植医療への一歩であることは間違いない。
この技術そのものは、死者の臓器を必要とする点で臓器提供者不足の解消にはあまり役に立たないかもしれない。しかし、このような方法で本人の細胞を利用して機能する臓器が作れれば、拒絶反応を回避できるので移植を受ける側には大きなメリットがある。
また、今回は死者の臓器から細胞を支える構造部分を取り出して利用しているが、これは将来3Dプリンターで作成できる可能性がある。そうなれば、それに本人の細胞を定着させることで、死者に依存しない本人の細胞を用いた人工臓器移植が可能になる。
万能細胞とこのような構造作成の技術の組み合わせは、再生医療実用化への道で是非とも必要だろう。臓器全体を作成して移植するためには、万能細胞から作成した臓器細胞を組織化する技術が必要だが、大型の臓器の自己組織化技術の完成にはまだまだ長い時間が必要だろう。それまでの代替手段として人工的に作った構造を土台として利用するのは有力な手法だ。
今後も、医学、生化学、工学など多方面からのアプローチを続ける必要がある。
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