しらせ接岸
2年続けて接岸できず、今年も難航していた「しらせ」がやっと昭和基地に接岸したと国内各紙が報じている。(記事;朝日新聞、毎日新聞、読売新聞)
ここ数年、温暖化によると見られる極地の氷雪の減少とは裏腹に、南極周辺海域では氷が厚いようだ。そのためか、しばらく前から観光客を便乗させたロシアの調査船が氷に閉じ込められ、救助に向かった中国の砕氷船も氷海で身動きがつかなくなるという騒ぎになっている。どちらの船にも差し迫った危険は内容だが、南極の基地に補給物資を運ぶ予定だった米国の砕氷船が救助に向かう事を検討しているのだそうだ。(関連記事;AFP(2013/12/29)、AFP(2014/01/01)、AFP(2014/01/03)、AFP(2014/01/04)、CNN(2013/12/27)、CNN(2014/01/03)、CNN(2014/01/04)、CNN(2014/01/05))
ロシアと言えば、かつて氷海に閉じ込められた南極観測船「宗谷」を救出してもらった「オビ」号の記憶がある。今でもロシアには、北極海航路を維持するための一万トンを超える大型砕氷船(原子力!)が何隻かあるはずだが、北極から回航していては間に合わないと言うことだろう。
「しらせ」も世界最高クラスの砕氷能力を持つが、今は氷海の奥深くの昭和基地に接岸中で、積んでいった補給物資を下ろしきるまでは動くことができない。かつての恩返しをするのは無理のようだ。
それにしても、温暖化による南極の氷雪の減少と周辺海域の海氷が厚いこととは関連性がありそうだ。恐らく、氷雪が溶けて大量の淡水が流れ込んでいるため、海水の塩分濃度が低い海域ができ、そこで海氷が発達しやすくなっているのだろう。オホーツク海の北西部にアムール川が流れ込んでいるため、河口部で流氷が大量に生成するのと原理は同じだ。
追記;「しらせ」の航海の状況は、文部科学省の特設サイト「進め!しらせ」で見ることができる。これを見ると2013/12/16以降の難航ぶりがよく分かる。
なお南極観測全般については同じく文部科学省の「南極観測のホームページ」で見ることができる。
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