またも脱iPS技術の糸口が
京大グループ(記事;「遺伝子のスイッチ、直接入れることに成功 京大グループ」)に続き、理化学研究所を中心とするグループがまた異なる技法で万能細胞を作る技術を見いだしたと主要メディアで報じられている。
記事;
朝日新聞「新しい万能細胞作製に成功 iPS細胞より簡易 理研」2014年1月29日21時17分
読売新聞「第3の万能細胞STAP作製…iPSより簡単に」2014年1月29日22時20分
毎日新聞「新万能細胞:作製に成功 簡単でがん化せず 理研など」2014年01月29日 20時59分
日本経済新聞「理研、万能細胞を短期で作製 iPS細胞より簡単に」2014年1月29日 21時
こちらもウイルスを使う遺伝子操作なしに万能細胞を作ることができるので、ガン化のリスクが少ないと考えられるという。また、ウイルスを封じ込める為の特別の実験室は必要がないので一般実験室で万能細胞を作成できる。従って実用化に当たっての設備コストが低くてすむ。これは、実用化後の医療費が安くなることも意味している。
日本で次々と脱iPS技術の糸口が見いだされているが、他の国々でも多数のグループが同様の技術を追求しているだろう。当然、今後続々と発表されるだろう。その中でどの方法が実用化されるのか。今はまだ動物実験の段階だが、人間の細胞での実験の競争になる。
この流れの中で、日本が非iPS万能細胞技術で後れを取らないよう、国としても研究助成方針の絶えざる見直しを望む。過去の例では、注目された研究が国によって権威付けされるとそれが利権化して競合する研究が抑圧され、結果として国際的な研究競争で後れを取る事があったので、それは避けなければならないからだ。
いずれにしても、今後の万能細胞の研究は遺伝子操作を伴わない方法が主流になるだろう。他の分野でも、ウイルスを使う遺伝子操作を用いずに遺伝子を活性化させる技術で続々と成果が得られている。従って、当面は万能細胞を自己移植する医療法の研究は先行しているiPS細胞を用いて進めるべきだが、万能細胞を作る技術としてはiPSを捨てても良いのではないかと思う。
追記(2014/02/01);
STAP細胞のニュースに埋もれてしまったが、2014/01/30の朝日新聞の夕刊にiPS細胞の改良された培養法が報じられていた。
今後も幹細胞の新作成方法は幾つも出てくるだろうが、作成された幹細胞の培養技術の改良も自己移植医療の実用化には不可欠だ。迅速な実用化を行うためには、幹細胞の高効率で安全な作成技術が実用化されるまでに、ES細胞やiPS細胞を用いて培養や移植の技術の研究も進めておかなくてはならない。
« まだまだ続く異常気象 | Main | フィッシングメールはお休み中 »
Comments