脱iPSへの糸口
朝日新聞が2014/01/24付けで、京大の研究グループがウイルスを利用せずに化学物質で直接に遺伝子のスイッチを入れることに成功したと報じている。
記事;「遺伝子のスイッチ、直接入れることに成功 京大グループ」
iPS細胞は、それを作るのにウイルスの一種(ベクター)を利用して細胞外から遺伝子を注入しこの遺伝子が合成するタンパク質が分化した細胞を未分化状態に戻す。このウイルスが、後にiPS細胞の一部ががん細胞化する原因だと考えられている。このため、培養中にがん化する可能性がありそうな細胞を選り分けて除去する研究も盛んに行われている。また、ウイルスを利用するため、それが外部に出ない様に設計された特別の実験室が必要になる。
その一方で、ウイルスを利用せずに細胞を未分化状態に戻す研究が世界中で行われている。ウイルスを使用しなければ、ウイルスを利用することに伴うやっかいで経費もかかる要素を回避でき、一般の病院でも未分化細胞の製造が容易になる。これが脱iPS細胞の研究が海外で盛んな理由である。
日本ではある技術が権威化されると同じ目的の他の技術の研究が否定されたり妨害されることが多い。このため、脱iPS技術で海外研究組織に先を越されて特許を取られるのではないかと、私は危惧している。
その中で京大の研究グループが糸口をつけたと言う事は、今後さらに激しくなる開発競争の先鞭をつけた事であり喜ばしいことだ。今後iPS勢からの妨害が入らないことを願う。
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