参院選;棄権するより白票を
参院選の投票日が近づいているが、主要紙は低投票率を予想している。しかし、私は投票したい候補がいないからと棄権するよりは、投票助に出向いて白票を投ずるように進めたい。
近頃は学校でも間接民主主義の問題点として、負けた候補に投じられた票が無駄になると教えているようだ。これを「死(に)票」と呼んで現在の選挙制度の最大欠陥だとしているようだ。メディアでもその種の議論がしばしば見受けられる。しかし、私の世代が受けたいわゆる「戦後教育」では、敗者に投じられた票にも意義を認めていた。
それは反対意見にも耳を傾けよと言うことだ。そしてそのような意見がどれほどあったのかを反対票によって認識し、それにも配慮して政治を行えと言うことだ。そういう意味で、敗者に投じられた票にも価値があると考えられていたのだ。
しかし今は、勝者が敗者を無視して好きなように政治を行うことが当然だと言う考え方が主流のようだ。だからこそ、敗者に投じられた票が無駄な「死票」になるので問題だという意見が多いのだろう。
その結果が比例代表制の導入なのだが、比例代表制では候補者個人の人格が軽視され、党名という一種のレッテルが優先される。そしてそれが党所属の代議員に対する党幹部の支配力を強めて、ボス政治や派閥政治がはびこるという欠点も有している。また、群小政党が乱立して物事が決まりにくいという欠点もある。利点ばかり強調せずに、選挙制度ごとにどのような利害得失があるのかも認識して置くべきだ。
以上のように、現在は勝者へ投じられた票以外は無駄であるとされるが、本来はそれらは無駄ではない。反対意見が多いか少ないかを示す意義があるのだ。ところが、投票しない者は無意見であり勝者に無条件に従うものだと見なされてしまう。だからどの候補者にも投票する価値を見いだせないものは、候補者や政党に対する不満の表明として白票を投じるべきだ。
勝者の得票数を上回る白票が投じられれば、政界やメディアに対する衝撃は少なくないはずだ。だから棄権するよりは、投票所に出向いて白票を投じるほうが良い。
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