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April 06, 2013

当てが外れた北朝鮮

このところ続いている北朝鮮の強硬発言の背後には、北朝鮮政府上層部の勢力争いがあると考えている。金正恩氏への影響力拡大を狙う勢力が、対韓米強硬発言を勧め発言させることに成功したものの、韓米の反応が当て外れになったのではないだろう。

強硬発言をして米国から譲歩を引き出すのは実績があり、今回もこれまでと同様にそれが通用すると見込んでいたのだろう。しかし、米国の前政権(リトルブッシュ政権)が対朝弱腰路線をとらざるを得なかったのは、対イスラム戦争で地上戦力に余力が無かった為であり、今の米国にとっては状況が全く異なる。今の米国には、大規模な戦争を仕掛けられてもそれに対応できる地上戦力の余力がある。

北朝鮮政府上層部で金正恩氏に対する影響力を拡大し、より多くの権力を得ようとする複数の勢力が、互いに手柄争いをしているであろう事は容易に想像できる。それは北朝鮮が時代劇さながらの権力継承を行っているからだ。

権力継承に伴って新たな勢力が新権力者に取り入ろうとし、他の勢力がそれに対抗する。この手段として最も利用しやすいのは、国民に継承者の威信を示すことに貢献することだ。それには米国から譲歩を引き出すことで、金正恩氏の威信を高める事が最も好ましい。そこで韓米に対する強硬発言となる。

しかし今回、軍事的に余裕がある米国は強硬発言に対して強硬姿勢で応じた。しかし、ここで引き下がれば北朝鮮政府の面目は丸つぶれになり、国民に恥をさらすことになる。これは金正恩氏にとっても、強硬発言を勧めた者達にとっても決して受け入れられないことだ。また、強硬発言を勧めた者達にとっては、政権内の立場を失う事になる。さらに不面目の責任の全てを全て押しつけられ、粛清されることにもなりかねない。

そこで、強硬発言をエスカレートさせて米国から譲歩を引き出し、体面を保ったまま矛を収められる状況を作る。それが北朝鮮政府が今行っていることだろう。

現実に戦争になれば北朝鮮には勝ち目がない。北朝鮮が先制したとなれば中国も軍事介入の(国内的)大義名分がない。国内的な大義名分がなければ中国は動かない、韓米側はそう読んでの強腰対応だろう。

どの大国でも国際的な大義名分は意に介さないが、国内的な大義名分は政権維持の為に必要だ。韓米側から先制攻撃しない限り、中国政府には大義名分がないので動けないということだ。

追記;
北朝鮮の高官にとっては、背後に中国という「強いお兄ちゃん」が付いていると言う事が頼みなのだろうが、中国が軍事支援を確約しなければ強硬発言推進派の影響力は急速に失われる。その場合、対抗勢力が台頭し権力争いが激化するだろう。ただしこれは、北朝鮮内部の政治的混乱は避けたい中国にとって頭の痛い問題だろう。

そうそう、尖閣諸島問題にかんして日本にも、米国という「強いお兄ちゃん」がいるんだぞと主張する者達がいましたっけ・・・・。喧嘩に負けた小学生の捨て台詞のようでみっともないことおびただしい。

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