APS-Cコンパクトカメラ
ニコンから今日(2013/03/05)、APS-Cサイズのセンサーを使用するポケットサイズのコンパクトカメラが発表された。最近、方向性が定まらず混乱気味なカメラ市場にセンサーの大型化というまた新たな方向性が加わったようだ。
カメラ市場の現状を見ると、様々な規格やタイプのカメラが入り乱れている。1/2.3型センサーを用いるポケットタイプ、高倍ズームレンズによる機動性を謳うコンパクトタイプ、41/1.7型センサーを用いるハイクラスコンパクトと称するタイプ/3やマイクロ4/3規格のミラーレス一眼と称するタイプ、さらにAPS-C型センサーを用いる一眼レフ入門機と称するタイプ、そして35mmフルサイズと称する一眼レフ中級機やプロ用の上級機、さらにスタジオ撮影用の46版センサーを用いる物などがある。このような現状を見ると、カメラメーカーがどんな製品を開発すればよいのかがわからなくなり、とにかく何でもやっておけという混乱した状況にあるのがよく分かる。
他社製品との差別化も、画素数競争からモニターサイズ競争になり、さらには厚化粧の画質競争と移り変わってきた。しかしどの会社の製品も実用上の差がほとんど無くなり、消費者にとっては外観と価格以外の要素は選択基準とならなくなっている。このような状況下で、ニコンはセンサーサイズによる差別化を試みることにしたようだ。
確かに、センサーサイズが大きくなればダイナミックレンジが広がり、階調表現性がよくなる。また、低光量時の画質も向上する。さらに今回の新製品では、マニュアルフォーカス用のリングをつけることで、手動でも迅速な焦点合わせができるようにしている。これらはポケットタイプのコンパクトカメラのマニュアル操作に不満を持つ人たちに訴える要素にはなり得る。
しかしセンサーが大きくなった分価格もふくらみ、ニコンの直販サイトでの価格はAPS-C中級一眼レフの本体価格に匹敵する。この価格では一般消費者向けのポケッタブルカメラとは言い難い。むしろ、かさばるカメラを持ち歩きたくない報道関係者に喜ばれるかもしれない。光学ファインダーを外付けできるので液晶モニターが見えにくい晴天の順光条件での撮影もしやすいだろう。案外、このような報道分野を狙ったものかもしれない。
いずれにしても、ポケットサイズのコンパクトカメラ市場に今回センサーの大型化という一石が投げ込まれた。これがコンパクトカメラのセンサー大型化競争に繋がるのかどうか興味がある。
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