ポケットタイプやコンパクトタイプの場合には、「これぐらいはしかたがない」と無視していた色の再現が気になり始めて困っている。理由は、記憶に残した色、カメラのモニターに表示された色、パソコンの画面に表示された色、そして印刷された色がそれぞれ異なるが、この価格のカメラであればそれをなんとかしたいと感じ始めたからだ。
パソコン画面もプリンターもメーカーの標準設定で使っているのだが、色がかなり異なってしまう。さらにパソコンのモニター(LCD)の色は、見る位置を少し変えるだけで微妙に変化してしまう。これがモニター上の色と印刷した場合の色を一致させることを難しくしている。このような差は、多くの人には気にならない程度のことなのかもしれないが、色材の品質設計や管理を仕事にしていた期間が長い私としてはどうにも気になるのだ。
色に詳しい人の中には、色彩管理用のカラーパッチを使って色を合わせればよいではないかと言う方もいるだろう。しかし、それでは記憶に残した色の再現はできないのだ。
人が感じて記憶する色に関しては、その物体固有の色というものは存在しない。色に関して唯一、物体固有のものとして存在するのは反射率曲線だけだ。人が感じて記憶する色は、これに色温度だけでは定義しきれない光源のエネルギー分布、反射率曲線の形で決まる演色性(メタメリズム)、色や明るさに対する順応、さらには体調や心理状態などが加わって決まる。つまり、万人共通の正しい色と言うものは一義的に決めることができない。この心理的色彩は、色彩管理用カラーパッチに対する較正を行っても再現できない。このことが色の再現という問題を難しくしている。
パソコンの画面と印刷の色を近づけるカラーマッチングは、それに用いる測色計やソフトウエアが市販されているが、高価で素人には使えない。結局は試行錯誤で調整しなければならないようだが、毎回手間がかかって悩んでいる。なにかよい方法はないものだろうか。 |
それはそれとして、EOS6Dの発色はネガカラーに近く調整されているようだ。ネガカラーでこの十数年来気になっていた「マゼンタかぶり」の傾向が、EOS6Dでも感じられる。そのため、ポケットタイプやコンパクトタイプのデジタルカメラの「色鮮やかできれい」というものとはかなり異なっている。
ケンコーが販売している「赤かぶり除去用近赤外線吸収フィルター」は効果があるのだろうか(メーカーサイトの説明ではフイルム専用となっている)。径が大きいものは価格が高いので、簡単には買って試してみるという訳にはいかないのだが・・・・。 |
色再現の例として、以下に私のパソコン画面上で記憶色に極力近づけてみた例を示す。
上は朝日を浴びた状態の色、下は午後に日が入らなくなった状態での色を再現してみたもの。印刷物でそれぞれを再現しようとすると、またそれぞれ試行錯誤で調整しなければならない。
赤紫~青紫は演色性が特に強いので、光源のエネルギー分布が異なると感覚的な色が大きく変化する。このため画一的な補正では意図しない色になってしまう。また、三原色システムで染めた染色物のベージュやグレーも演色性が強くなりやすいので、記憶色の再現には相当の手間と妥協を強いられるだろう。 |
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追記(2013/02/25);用紙の差異による印刷色の変化 以前から気になってはいたが確かめずにいた、用紙の差異による色の変化を調べてみた。
Canon純正の写真印刷用紙と他の2社の写真印刷用紙に、同じ設定で印刷してみると、やはり大きな発色の差がある。やはりCanonも自社の用紙に合わせ込んでいるようで、Canonブランドの用紙で一番自然な発色になる様だ。
今回は望みのサイズのものを入手できなかったが、ElecomはEpson対応と銘打ったものとCanon対応と銘打ったものとを販売している。これをEpson製プリンターとCanon製プリンターで印刷して較べてみるのも面白そうだ。ただし、手持ちのEpson製プリンターは古いPM-950Cなので対応しているとは言えないかもしれないが・・・・。
供試の用紙; 1.Canon製 キャノン社写真用紙・光沢ゴールド 2.Fujifilm製 画彩 写真仕上げPro 3.Elecom製 超光沢の写真用紙 厚手
プリンターの用紙設定 写真用紙 光沢ゴールド
追記(2013/04/13);Elecom製用紙の比較 Elecom社のCanon対応用紙とEpson対応用紙を入手したので比較してみた。結果詳細は他の用紙と併せて別記事にしたのでそちらを参照してほしい。 |
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