セシウム検出用蛍光試薬;詐欺のネタに使われそうな新聞報道
セシウムを検出できる新しい蛍光試薬が開発されたという。この試薬はセシウムと錯体を作り、それに紫外線を当てると蛍光を発するので簡単に検出できるという。
ところが、これを報じた三大紙の記事には問題があった。それは「放射性セシウムを検出する試薬」と言う荷出しと内容だったからだ。しかしながら、この種の検出試薬は元素の区別は可能であるが核種の区別はできない。つまり、放射性であろうと無かろうと、セシウムでありさえすれば検出すると言うことだ。
と言うわけで、この記事を利用する詐欺が行われそうな気がする。非放射性のセシウム化合物は一般試薬(注)として簡単に購入できるので、これの薄い水溶液をまいておき、この試薬を使って光らせて見せて「セシウムがあるから除染する方が良い。うちが安く除染するから契約してくれ」と言うわけだ。あえて「放射性」セシウムと言わなければ嘘にはならないので、詐欺師には絶好のネタになりそうに思える。
その後、朝日新聞は見出しから「放射性」を外したようだが、他の新聞社はそのままだ。詐欺に利用されないよう、注意喚起が必要だと思うのだがどうだろう。
(注)薬局で身分証明無しに購入できる試薬。また、セシウムは花火に色をつける目的でも利用されている様に記憶する。
追記(2012/12/26);
特定の金属と結合してそれぞれに特有の色を示したり蛍光を発する化合物は、吸光分析や蛍光分析で多種用いられている。上記の記事にヒントを得て、希土類など他の微量元素を利用した詐欺が行われるのではないかと危惧する。
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