今回の黒点周期では太陽活動が低調だと言うことが話題になっている。これまでにも黒点数と気候変動との関係が言われてきたので、両者の関係を調べてみた。
黒点相対数は過去100年の移動平均値を求め、それと年平均気温の偏差とを比較したのが下図である。移動平均値を用いたのは、黒点周期の影響を少なくするため、そして過去の蓄積の影響が大きいだろうという観点からである。平均期間を100年としたのは、平均期間が長い方が11年周期による変動を消すのに都合が良かったこととほぼ100年の周期が見て取れたからで格別の根拠はない。
図から、黒点相対数移動平均値は19世紀中はほぼ一定していたが19世紀末に一旦減少し、20世紀にはいると徐々に増加していることがわかる。21世紀に入ってからの動向はデーターが少ないのでまだ明瞭ではない。
平均気温偏差はデーター数が少ないので移動平均値は示していないが、黒点相対数の100年移動平均値に少し遅れてよく似た動きを示している。 |
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図;太陽黒点相対数と平均気温偏差 黒点相対数R=k(10g+f) gは黒点群の数,fは観測した黒点の総数,kは観測機械、観測者等による係数 黒点相対数は理科年表2011年版による 但し2010年及び2011年はNASAの値に基づく 平均気温偏差は気象庁による |
このような比較のやり方が妥当かどうかはさらに検討しなければならないが、黒点相対数の移動平均値と年平均気温の偏差に相関がある(重相関係数=0.89)ように見えるのは興味深い。相関があるから因果関係があることにはならないが、太陽活動が地球温暖化の原因の一部である可能性は考慮しなければならないのだろう。
太陽活動の低下が長期化する可能性が指摘されている今、それによる寒冷化と温暖化ガスの増加による温暖化のどちらが優勢になるのかは予想しがたい。極地の温暖化と熱帯域の低温下が同時に進むことがあるかもしれない。その場合、大気や海水の大循環に大きな影響があるだろう。極地の温暖化と熱帯域の低温下により大循環が弱まり、その結果今度は極地が寒冷化し熱帯域が高温化する。これを繰り返すことも考えられるのだ。
太陽活動の長期変動の気候への影響を確認するには、今後さらに20~50年が必要だろう。従って、今後も継続して監視を続ける必要があることは言うまでもないし、増加させるのはたやすいが減少させるのは困難な温暖化ガスの人為的な排出を抑制すべきであることも当然である。 |
参考;黒点相対数100年移動平均値と平均気温偏差の相関を下図に示す。 相関係数は非常に大きいが、これだけでは因果関係の有無は判断できない。 |

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注;2012/09/11、最新データを追加した図に差し替え、文章の一部を改訂。
追記(2012/09/20); 2012/09/20付け読売新聞Webサイトに「太陽活動低下、金星で証明…一酸化炭素濃度低下」という記事が掲載されている。太陽紫外線の減少で一酸化炭素が減少したという内容だが、地球のオゾン層への影響はどうなのだろうか?
ブログ内の関連記事; 1.恐竜絶滅原因の新説(2012/09/11) 2.太陽活動の異変(2012/04/20) 3.寒冷化が100年以上続く?(2011/06/27) 4.太陽活動が低調期入り(2011/06/26) 5.太陽が冬眠する?(2010/03/10) 6.地球の将来は温暖化? それとも寒冷化?(2009/06/05) |
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