恐竜絶滅原因の新説
NKH BS-Premiumで09/06に放送された「コズミック・フロント~見えた!銀河系の全貌」で恐竜絶滅原因の新説が紹介されていた。それによると、恐竜を絶滅に追い込んだ寒冷化は太陽系が銀河系の渦状肢の一つを通過したために発生したのだという。
これは銀河系の全体構造を研究している天文学者と地質学者が共同で提唱したもので、宇宙線によって大気上層の雲が増えて寒冷化するという説と、宇宙線の発生源である超新星が太陽系の近傍(と言っても千光年単位の距離)にどれぐらいあるかということを関係づけたものだ。
それによると、太陽系はほぼ1億4千万年毎に銀河系に四本ある渦状肢(恒星の密度が高く明るく見える部分)を通過する。このときには太陽系周辺の恒星密度が高いので、超新星爆発の頻度も高くなる。これによって地球に降り注ぐ宇宙線が増加し、地球が寒冷化するのだという。これについては、5.5億年に亘っての周期的気候変動が地質学的証拠によって確かめられているそうだ。
渦状肢は恒星の移動速度のむらによって生じる粗密波(注)のようなもので、速度の遅い部分では星の密度が高まり、早い部分では星がまばらになる。銀河系は太い二本と細い二本の合計四本の渦状肢を持つ点対称の構造なので、各恒星は周期的に星が密な場所と疎な場所を通過して行くことになる。これが周期的気候変動の原因になるのだと言う主張だ。
この研究によると、太陽系が前回渦状肢を通過したのは約7千万年前で、恐竜が絶滅した年代と一致するのだそうだ。
これまで気候変動は、温室効果ガスや大陸の移動など地球内の原因が研究されてきた。しかし最近では太陽活動の影響や巨大隕石の落下など、地球外にも原因が求められるようになった。そして今度は銀河系規模の現象が原因の一つとして浮上してきた。地球の気候変動は、地球外要因も考慮したモデルで取り扱わねばならないようだ。
(注)番組では自動車の渋滞に例えられていたが、自動車の渋滞も粗密波のような性質を持つことが知られている。
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