代替エネルギープラント
脱原子力発電所論者の主張には一つ大きな問題がある。それは、代替エネルギープラントの建設には長い年数が必要だという事を故意に無視している点だ。大新聞の論調ですら、脱原子力の政策が決定すれば1年後にも十分な発電容量の代替エネルギープラントが完備するかのようだ。しかし現実は層ではない。だから、無視が故意ではないとすると、あまりにも狭視野で脳天気に過ぎる。
脱原子力発電を進める上でしばしば問題として指摘される、代替エネルギープラントの出力が不安定な点などは、十分な余裕を持った数のプラントを建設すればよいだけのことだ。たとえば、数日間以上にわたって全国平均出力(貯電システムからの供給が途絶える事を想定)が20%に低下する事があり得るのであれば、全体で500%以上の能力を確保して置けば良い。
しかし、それには莫大な費用と広大な土地が必要だ。そして用地の選定や確保、さらに環境アセスメントなどの準備段階に長い時間(通常最低5年)がかかる。前例から見ると、大規模なプラントの建設には構想から商業運転まで10年はかかるだろう。そして今の日本では、必要な数の代替エネルギープラント(恐らく1,000カ所以上)の建設を一気に平行して進めるだけの人材と資金力は、国にも民間にもない。
さらに現状では、原子力発電を止めたままでは国内の景気回復は難しい。電力不足で製造業の稼働が低下したままでは景気が回復しない。「日本の製造業は電力不足で、納期が不安だから発注は避ける方が良い」という風評被害もあり得る。景気が沈滞したままでは、民間資金も税収も減少したままになる。そして、外国金融機関の目が厳しくなり始めている現状では、信用不安を引き起こさずにこれ以上国債を大量に発行することも難しい。
つまり、脱原子力発電を進める為には原子力発電を再開して、十分な電力を供給すること必要なのだ。そして、完成して実力(最大と最小出力、トラブルや定修による停止時間率など)が確認できた代替エネルーギープラントからの供給量に見合う原子力発電所を止めて行けばよい。現在と将来の両方を見据えて進めるには、それが最も良いやり方だ。
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