先が見えた?液晶テレビの時代
最近になって韓国、中国などの電機メーカーが、大型有機ELテレビの製品化に注力し始めたようだ。少しずつ量産試作品と思われる市販製品が発表されている。
まだ、耐久性(パネル寿命)の問題が十分には解決していないと思われるが、液晶パネルに比較して構造が簡単(*)で製造コストが大幅に低下すると見込まれている。また、本質的には有機ELと同じである有機半導体による回路が形成できるようになれば、印刷法での製造が可能になり高価な装置を必要とする真空プロセスが不要になるとも期待されている。
液晶テレビでは日本メーカーに先行された外国メーカーが、有機ELテレビで先行して主導権をとりたいと考えるのは当然だ。今後各社の開発にはさらに拍車がかかるだろう。5年以内には、大型有機ELパネルの量産品が市場に登場する可能性がある。液晶テレビ全盛の時代も先が見え始めたと考える理由はそれだ。
これに対し、液晶テレビの多機能化など経費がかからない新製品の開発にかまけていた日本メーカーは、すっかり後れをとった様に見える。少し経費や時間がかかりそうだとなると簡単に手を引く、今の日本メーカーの体質では挽回は不可能かもしれない。液晶テレビの時代の終焉は、日本メーカー製テレビの終焉になる可能性がある。
応用技術の開発ばかりで基礎研究をしないと言われながらも、実は基礎技術の開発に多くの労力をかけていたかつての日本企業。それがいつの間にか、すぐに収益が期待できるお手軽な商品開発しかしなくなっていた。このままでは日本企業は衰退するばかりだ。すぐには収益が期待できないが、長期的には収益が期待できる基礎技術開発にももっと資金と労力をかけるべきだろう。それとも、そのような基礎技術開発を収益につなげる才覚がある経営者がもはやいないのだろうか?
(*)液晶パネルは基板ガラスの他、導光板、偏光板、位相差板、カラーフィルターなど多数のパーツで構成されている。有機ELパネルにはこれらのパーツは不要。
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