可変減光フィルター
太陽撮影用の遮光フィルターを調べているうちに、「可変減光フィルター」が存在するのに気がついた。透過光量を調節することは、2枚の偏光板を使えば可能だ。2枚の偏光軸が平行であれば透過する光量は最大になり、直交すれば最小になる。
ただし商品化されている可変減光フィルターには、偏光フィルターとしての機能はないという。それならば、1枚目の偏光板の前方に1/4波長板を置けばよい。こうすれば入射光に偏光成分が含まれていても、偏光板を通過した光量の向きによる差は無くなるからだ。そして、1枚目の偏光板でできた偏光を2枚目の偏光板を通過させる。そうすると2枚の偏光板の角度を変えて透過する光量を変えることができる。2枚目の偏光板を通過した偏光は、再び1/4波長板を通して円偏光に変換しておけば、自動露出や自動焦点合わせに悪影響せずに済む。
全体としてみるとこれは2枚のサーキュラー偏光フィルターを、偏光板がある側(表)同士を向き合わせて組み合わせたものに等しい。実際に2枚のサーキュラー偏光フィルターを使って試してみると、全く同じ効果が得られる(別記事「偏光板を使った遊び」を参照)。ただし若干の色が付くので、これを防止するためには、対になる1/4波長板と偏光板に、ともに良く特性が一致するものを組み合わせる必要があるだろう。
市販の可変減光フィルターが高価なのは、着色しないために特性が一致する1/4波長板と偏光板を揃える品質管理にコストがかかるためだろう。
追記(2012/05/29);
1.着色対策としては分散(屈折率の波長依存性)がごく小さい材質で作られた1/4波長板があれば良いと思われる。高屈折率超低分散のレンズ用樹脂は商品として存在するので、そのような1/4波長板も存在するかもしれない。また、「偏光板を使った遊び」の記事中にあるように、1/8波長板、あるいは3/8波長板が使えるのかもしれない。
2.可変減光フィルターの製品は高価なので、サーキュラー偏光フィルターを2枚用意し、1枚目をレンズに取り付けた後、2枚目のフィルター板を枠から取り外して裏表逆に取り付け直したものを重ねて取り付けることで、似たようなものを手作りできるだろう。(フィルターの厚みが2倍になるので、広角系レンズではケラレが出るだろうが・・・・。)
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