バーチャル世論
バーチャルばやりの昨今、世論もバーチャルなっている様だ。
手間のかかる正規の手順を踏んだ世論調査ではなく、お手軽にネット上の掲示板の書き込みを見てそれが世論であるかのように報道する、そのような記事がしばしば見られるようになって来ているからだ。比較的良心的なものは「ネット世論」と断るがネット外でもそれが主流であるかのような書き方をする。最近は断ることもしないものがある。
ただネット上の掲示板を見れば、ネットに書き込みをする者は国民の中のごく少数であり、書き込みの内容やその口調を見れば書き込む者の思考方法や性格が偏っていることが分かる。そしてこのような者達は、ネット上で盛大に言い立てはしても現実の世界では何もしない。ただ、誰かがしてくれるないかと期待して待つだけだ。
これは自発的に(当時流行の言葉で言えば「主体的に」だ)行動する若者に手を焼いた当時の政府が目標とした、権威に従順な国民を作る教育(脱戦後教育)の成果なのかもしれない。この教育では、自分で判断せず権威に従順であることが訴求された。そしてその為に、「かわいそう」と「おもいやり」を旗印として子供たちが自主的に行動しなくて良い環境が整備された。
こんな教育を受けた者達は、不満をネットで言い立てるだけで誰かが代わりにしてくれることをただ待っている。そして、現実世界では発言も行動もしない。
SFに、人々が肉体を捨てバーチャル世界に移住することで永遠の命を得ると言うものがあった。そんな世界は、ネット世論の主流の者達には適しているのかもしれない。その世界にリセットボタンがあるのかどうかは知らないが、大金持ちが自分の思うがままになるバーチャル世界を作ってその中で暮らすことは可能になるかもしれない。バーチャル世界の沙汰も金次第だ。
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