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April 10, 2012

北朝鮮ロケットの迎撃;日本の大騒ぎと打ち上げ方向が南である理由

北朝鮮が打ち上げると予告しているロケットを迎撃すると、政府や防衛省が大変な意気込みだ。だが私はそれにすっかりしらけている。

理由はいくつかあるが、その第一はこれが北朝鮮に対する反感を煽るための政治的宣伝であることが見え透いていることだ。北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込もうとしているかのように思い込ませて反感を煽る、これが重要な目的であることは明白だ。

その2は、ロケットが衛星打ち上げなのかミサイルの実験なのかどちらにしても、現実に日本に落ちてくる可能性は極めて低いと言うことだ。大型ロケットは全て(軍用ミサイルであれ衛星用であれ)軌道を逸れた場合のために自爆装置を積んでいる。日本もこれまでに何基も打ち上げ失敗で自爆させている。自爆したロケットの破片も、迎撃ミサイルで破壊されたロケットの破片も大きさでは大差あるまい。そして、破壊後の破片の落下を止めるすべはない。つまり、迎撃しようがしまいが、軌道を逸れた場合の落下物による危険は大差ないと言うことだ。

その3は、予定軌道下の水陸比だ。地図を見れば一目瞭然だが、この範囲の陸地はごくわずかだ。日本政府が大騒ぎで宣伝している程、陸上に何かが落下する可能性は高くない。日本政府が宣伝するほど信頼性が低いのであれば、狙ったとしても落下してこないだろう。

他にもいくつかあるが、それやこれやの政治宣伝のドタバタに、私はすっかりしらけている。韓国が日本列島越しに衛星を打ち上げる場合にはこんなに騒ぎはするまいにとも思う。

米国がイージス艦や艦艇を派遣してきているのは、落下物の危険性とはまた別の理由だ。米国がイージス艦とともに多数の艦艇を派遣して来た理由は、軌道を解析してロケットの性能を知ること、そしてあわよくば東シナ海に落下するであろう2段目や3段目を回収することだ。今回の打ち上げ方向が衛星打ち上げには不利な南であることは、極力中国軍の勢力範囲内に燃えがらを落下させて米軍による回収を困難にする、それが理由であるかもしれない。東に向けて打ち上げて、燃えがらが日本海や太平洋に落下すれば、米日韓三カ国にとっては回収活動がやりやすい。

自衛隊のイージス艦や迎撃レーダーの展開は、政治宣伝の他、このような米軍の活動の支援という要素もある。危険を言い立てていれば、このような装備の展開に対する批判を押さえられると言う期待もあるだろう。いやむしろこちらが主目的で、大げさな政治宣伝はそのいいわけが本当の目的と言っても良いかもしれない。

追記(2012/04/13);
ロケットは予定軌道を外れたため爆破されたようだ。そして、残骸の大部分は韓国のEEZ(排他的経済水域)内に落ちたと推定されている。韓国と米国にとっては北朝鮮や中国に邪魔されずに捜索できる海域だ。結果的に米韓には絶好のプレゼントになったといえる。

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