トンデモ科学者の疑問(物理学編);円偏光
長い間「円偏光」のイメージがつかめずにいたが、最近少し理解し始めたように思う。
というのは、一般的な円偏光の説明では「偏光面が回転しながら進む」と書かれていることが多い。しかしなぜ進行しながら回転するのかがとらえにくい。それについて考えているうちに、これは偏光面が進行しながら回転するのではなく、静止している観測者から見て偏光面が回転するのだと考える方が良いことに気がついた。
これがどのようなことを意味するのかと言えば、観測者が光の進行方向に垂直な面内で互いに直交するベクトル成分に振幅を分けて測定すると、両成分間の位相がずれていると言うことだ。
位相にずれがなければ、2成分の合成ベクトルは常に同じ方向を向いている。これが直線偏光だ。だがずれがあると、合成ベクトルの方向は1周期で1回転する。両成分のどちらの位相が早いかによって回転方向が決まる。恐らくこれが円偏光の正体なのだろう。
このような状態は、結晶軸に対する方向によって屈折率(言い換えると光速)が異なる結晶体によって簡単に作ることができる。このような結晶体は光学結晶体と呼ばれ、代表例の方解石は中学・高校の理科の教科書にも登場する。
とここまで書いて、これでは両軸での最大振幅が異なる「楕円」偏光ができる説明にはなっても、等しい「円」偏光ができる説明にはならないことに気がついた。すぐにおわかりのように、この説明では両成分の最大振幅が等しくなるのは両軸と入社する偏光の偏光面がなす角度が45°で位相ずれが1/4周期の場合だけだ。
補足;トンデモ科学者流に言うと、屈折率は真空中の光速をその媒質中の光速で割った値に等しい。
補足2;円偏光は1周期で偏光面が1回転するので、時間平均すると全方向の強度が同じになり偏光していないのと同じ取り扱いができる。この性質を利用して偏光板の後ろに位相を1/4ずらす1/4波長板(位相差板とも言う)を取り付けたものがサーキュラー偏光フィルターだ。
また円偏光を偏光板に入れると、全方向の光の時間平均強度が等しいので偏光板の向きをどのように回転させても透過する光量は変わらない。つまり、サーキュラー偏光フィルターの裏表を逆に使うと、偏光フィルターとしての効果がないのはこのためだ。ただしこの場合、フィルターを通過した光は偏光になる。
追記(2013/04/22);
円偏光をアニメーションで表現してみました。
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