外車と携帯端末機器の共通性
外車と携帯端末機器には共通性がある。それは収益を引き上げるための販売戦略が良く似ていると言う点だ。
最近は国産車に近づきつつあるようだが、かつて外車は販売先を富裕層に絞っていた。その理由は、販売台数を増やさず収益を上げるためだった。販売台数が少なければ、販売にかかわる人員もメインテナンスサービスにかかわる人員も少なくて済む。その代わり、本国の標準にはない豪華装備を多数取り付けた豪華仕様にして売価をふくらませることで単価を引き上げ、利幅を大きくしていた。
携帯端末の販売戦略もこれとよく似ている。販売価格の低下を防ぐため、多数の機能を盛り込むことで高価格化をはかっているからだ。他社にない機能、新機能を売り物に購入者の優越感をくすぐり、高価格でも売れるようにしようと狙っているからだ。これは、豪華装備の高価格で購入者の優越感をくすぐることで売ろうとした、かつての高級外車の販売戦略に一致する。
しかし決定的に異なる点もある。それは新型開発競争だ。携帯端末機器の基本構成部品はほとんどが同じであるため、新機能はソフトウエアに依存する部分が多い。このため他社に先駆けたつもりの新機能もたちまち追いつかれてしまう。そうなれば差別化ができないので、各社は新機能の追加に血道を上げることになる。これが開発コスト、さらには製造コスト(当然開発コストが乗せられるからだ)を引き上げて収益性を悪くする。
販売会社は価格上昇分をメーカーに押しつけることで負担を軽減できるので、この販売戦力に安住している様に見えるが、製造会社は収益性がどんどん低下して行く。一体どこまでこれを続けられるのかと疑問を感じる昨今だ。
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