高齢者社会保障費は誰が負担していたのか?
不足する高齢者の社会補償費用を賄うための増税が議論されている。現役世代の負担が増えると言うことで反対する向きが多いが、それについて過去においてはどうだったのかと言うことを考えてみた。
結論としては、過去においては現役世代が実際の役務や扶養費という形で、その費用を個々に直接負担していたといえる。現在は、その分を国家や自治体などの行政に外注委託する形に変わっているため、行政が負担する費用を新たに生み出す必要が生じている形になる。それ(増税)無しでは、従来行ってきた行政サービスを縮小せざるを得なくなるからだ。
このような観点から見ると、現役世代が実際の役務や扶養費という形の負担をしなくなった分は、やはり金額に換算して税金として負担すべきと考えざるを得ない。その代わり、親と同居して生活の介助をしたり生活費を拠出して扶養しているものにはそれ相応の所得控除を行う。現在よりも控除の対象を広げ、現在の制度では扶養家族として認められていない状況でも、現実に何らかの費用負担をしている場合には控除対象として認めるべきだ。
増税を認める変わり、現実の役務や扶養という形で直接に負担しているものにはそれ相応の見返りを与える。それが最善の形ではないだろうか。
追記;
同じ事は他の行政サービスについても言える。それは、昔は「結」等の地域共助システムで住人が直接に役務を提供する形で行われていたものを、行政が代わりに行うことになった業務だ。これも外注委託費の原資が必要であるから、税として徴収して確保しなければならなくなった。
このように、かつては家族や地域の共助システムが直接に役務を提供することで行われていたサービスを、行政が代わって行うために生じる費用の財源を誰が負担するのかという問題は、今後も多数発生するだろう。
高度できめの細かいサービスにはそれ相応の費用が必要であり、その財源となる税金が必要なのだ。
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