CANON Pixus MG-6230
長くエプソンのプリンターMP-950Cを使ってきたが、厚手の用紙の引き込みがうまく行かなくなってきたので買い換えることにした。
スキャナーは既にキャノンの8600Fがあるので印刷単能機でもよいのだが、最近は利幅が少ない単能機がほとんど出ていない。ネットワーク対応を重視して、結局は複合機を買うことにした。
購入したのはキャノンのMG-6230。同時期に発売されたエプソンのEP-804Aとは、機能も価格も似たり寄ったりでエプソンの方がやや安いと言ったところ。両面自動印刷を行うための機構が内蔵か後付けのオプションか、CDレーベルプリント用のトレイが内蔵かどうかと言った細かな違いがあるが、どちらも頻繁に使う機能では無いので決め手にはならない。結論としては一般人が日常の用途に使う範囲では、どちらを買っても外れと言うことは無い。最終的には外観が好みに合う方を選べばよいだろう。私がキャノンにしたのは、これまでエプソンのものばかり使ってきたので、たまにはキャノンのものを使ってみようかと言う好奇心からだ。
早速セットアップを始めたが、これまでにプリンターのセットアップやネットワークの設定を自分でやったことがある人なら特に問題無くできる。ただ、マニュアルは非常に使いにくい。セットアップガイド以外は電子マニュアルだけで、その内容は添付ソフトの使い方が中心となっていて、こうしたい時はこの添付ソフトでできますと言ったことばかりで、機構的な説明や取り扱い上の注意はほとんど無い。特に具合が悪いのは索引が全くないため、目的の説明に直接にたどり着く手段が無いことだ。一応の検索はできるがキャノン特有の用語で添付ソフトの説明にたどり着けるだけで、従来索引で使われてきたような一般的な用語での検索はうまく行かない。
と言うわけで、結局は現物に当たってトライアルアンドエラーで突き止めるしかなかったのは大いに不満だ。機械自体はよくできていると思うので、このマニュアルの不備が残念だ。
なお印刷結果を見ると、これまで使ってきたMP-950Cに比較してややオレンジ味でわずかにくすんだ色調になった。私が使っているディスプレイは、色温度が最低で6500ケルビン(いわゆる北窓光線だ)にしか設定できず青味になる傾向が強いのだが、こPM-950Cではこれとよくあっていた。MG-6230は色温度がやや低めに設定されているのかもしれない。
追記(2012/01/23);
マニュアルも最近は電子マニュアルばやりだが、電子メディアは紙メディアに較べて一覧性が悪いのが難点だ。それを補うのが検索機能のはずなのだが、このプリンターの電子マニュアルは検索機能が貧弱でなかなかヒットしない。これが最大の難点だ。また、ハードウエアの取り扱いに関する説明、特に注意点に関する説明がほとんど無いのも問題だ。
全体的な評価として、ハードウエアは優秀だが取扱説明書は落第と言ったところだろう。取説制作担当者が電子マニュアルの見た目の格好良さに自己陶酔して、使用者にとっての分かりやすさに配慮が行き届かなかったと言う感じを受ける。
追記(2012/01/25);
このMG-6230はLANへの接続機能を内蔵しており、有線・無線の両方に対応している。今回、プリンターをパソコンとは作業スペースを挟んだ部屋の反対側に置いたので無線LANで接続した。そのアクセスポイントとして、引き出しの中で埃をかぶっていたBuffaloのWLA-G54Cを引っ張り出して使った。
これでも接続は問題なく行われているが、一つだけ問題点があることに気づいた。どうやらWLA-G54Cの内蔵時計用の電池が切れているらしく、電源を切ると時計がリセットされてしまう。プリンターを使う上では問題がないのでそのままにしているが、外部からのアクセスがなかったかどうかを確認するためログを見ようとすると、電源を切る前の記録も消えてしまう。そのうちに新しいアクセスポイントと入れ替えるつもりだ。
通信距離としては2m程なので極々小出力のもので良いのだが、最近の商品は長距離接続をうたう物ばかりだ。無線出力を極小にできるものを探してみようかとも思う。なお、上記のWLA-G54Cは、電波出力を25%単位で設定できるので最小の25%に絞って使っている。
補足(2012/03/15);ネットワーク設定の方法についての説明も、プリンターのメニューの指示に従ってやれと極めて素っ気ない。機器に弱い人はどのようにすればよいのかが分からず困惑するだろう。設定手順についてはエプソンの取扱説明書に懇切丁寧に書かれているので、EP-804Aのものをダウンロードして参考にするとよい。プリンター側のやり方は異なるが、アクセスポイント側の設定方法は同じだ。
追記(2012/02/11);
電子マニュアルに関して補足すると、このマニュアルでは電子メディアの弱点が如実に現れている。それは、上にも書いた一覧性の悪さだ。
電子メディアでは検索機能をつければ十分だと考えるかもしれないが、その場合どんな用語で探せば目的の項目を見つけられるかが最大のポイントになる。索引があればその中から該当しそうな用語を推定することができるが、索引がない電子メディアでは広く世の中で使われている用語で検索してヒットするかどうかが使いやすさを決定する。ところがこのマニュアルではキャノン社特有の用語だけでしかヒットしないのだ。
例を挙げれば、「CDラベル印刷」や「CDラベル」、あるいは「ディスク印刷」などではどうやって印刷するのかは出てこない。キャノンに問い合わせたところ「プリンタブルディスクの印刷」で検索すればよいのだそうだが、これは世の中で広く使われている用語とは言えないし、一般的なユーザーでは「プリンタブルディスク」という単語は思いつかないだろう。
検索は一般に広く使われる用語で目的の項目に到達できなければならない。このことをなおざりにした検索機能では役に立たないのだから。
追記(2012/03/10);
MG-6230の電子マニュアルは独立したアプリケーションなので、目を通すにはインストールする必要がある。キャノンのサイトからダウンロードできるが、購入前にマニュアルに目を通して検討したい人には少々不便だ。その点、キャノンの従来品のようにPDF形式の方が利用しやすい。
追記(2012/05/08);
MG-6230はこれまで使ってきたEPSON PM-950Cに較べると、実感としてインクの減りが速い。
カートリッジの大きさを較べると、MG-6230用はPM-950C用の物に較べて半分もない(奥行きと幅は同程度だが深さが4割弱)。当然インクの内容量も半分以下だろう(内容量の表示はどちらにもない)。だが価格は、MG-6230用が850円前後であるのに対しPM-950C用の物は950円前後。カタログでは同じ様なランニングコストだが、実際にはかなり高くなるかもしれない(単位面積あたりの吐出量にも依存するが)。
追記(2012/06/28);
電子マニュアルは、2012/06/28現在V.1.10にバージョンアップされている。しかし、索引が無いことや検索の使いにくさの問題は全く改良されていない。
追記(2013/02/27);
発色の点は用紙の銘柄によって大きく変わるようだ。たとえ写真用紙であっても、Canon純正のものとサードパーティ製のものでは差が出る。各プリンターメーカは基準にしている用紙で発色を合わせるのだが、その用紙がメーカー毎に異なるので致し方ないようだ。
前記の色が赤暗みになる点も、キャノン純正の用紙では大幅に改善される。まだ試してはいないのだが、エレコムはキャノン対応をうたった物と、エプソン対応をうたった物とを別グレードとして販売している。プリンターメーカーそれぞれが基準にしているものに近い特性にしていると言う事なのだろう。
追記(2013/12/22);
カレンダーを作っていて重大な欠陥に気がついた。それは、写真用のグレードの紙質を選択すると用紙サイズに「ユーザー定義」が無いことだ。このためプルダウンメニューに無い、A5、B6等の手作りキットへの印刷ができない。普通紙などには「ユーザー定義」があるのだが、印刷の画質を「写真印刷」にすると紙質が「写真用」に切り替わって、やはり「ユーザー定義」が使えない。
メーカーは気の利いた機能のつもりでいるように見えるのだが、用紙サイズを一部の紙質で自由に設定できないというのは「余計なお節介」でむしろ重大な欠陥だといえる。
(補足);指定可能なA4サイズを指定して強引に印刷すれば、プリンターをだますことはできるのだが、印刷の都度作成ソフトが自動的に指定する設定を変更しなければならず非常に面倒だ。これをしないと「普通紙」の条件で印刷されて色がおかしくなったり、印刷方向が違ったりする。
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