水戸黄門終了
長く続いてきた「水戸黄門」がとうとう終了するという。数少なくなった「正統派」時代劇が無くなるのは残念だ。
若者に人気がなく視聴率が上がらないからだと言うが、視聴率が上がらないのはこの番組ばかりではない。若者全体の傾向として、テレビを見なくなっている(少なくともリアルタイムで)ことが背景にある。そして、テレビを見なくなって理由の大きな部分は、CATV等の有料放送、DVDのレンタルやインターネットに娯楽の中心が移っていることだ。
この為、若者向けの宣伝媒体としてのテレビの重要性が低下し、大手スポンサーがテレビに払う宣伝費を減らしている。これが原因で各局とも番組制作費を削減せざるを得なくなっている。その結果、番組内容がどこも同じ様なお手軽でつまらないものになっている。あるいは、ミステリードラマの再放送や、安く購入できる海外ドラマ、そして時間枠売りの通販番組の氾濫になっている。そしてこれが、さらに視聴者のテレビ離れを後押しするという悪循環を起こしているのだ。
このような状態から考えると、商業放送テレビ局が多すぎるのだという判断もできるかもしれない。放送業界全体として再編も考えねばならないだろう。
それはともかく、「水戸黄門」シリーズとしては東野黄門が一番おもしろかった様に思う。その理由は彼の演じた黄門が、年寄りのずる賢さやいやらしさを最も良く表現していたからだ。それが「水戸黄門」の面白さの重要な要素だった。それに較べて、最近の黄門様は格好良すぎてつまらなく感じる。もしも再開することがあれば、そのような要素も考えてほしい。世相に媚びない面白さも大切だからだ。
このような定番が、時代の流れとはいえ消え、お手軽制作番組に取って代わられてゆくのはやはり寂しい。NHKにはラジオ第1放送の「昼の憩い」や、ラジオからテレビに引き継がれて続いている「素人のど自慢」のような超長寿番組がある。このような番組にはまだまだがんばってほしいと思う。民放も新たな長寿番組の創出にがんばってほしい。
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