日本と中国;新幹線事故
中国の新幹線事故について、日本のネットでも賑やかなようだ。ただ、日本ではありえない、あるいは中国だから起きた事故だという意見には同意できない。また、その後も起きているダイヤの乱れについても中国のいい加減さの故だと言う意見も多い。これにも同意しかねる。
なぜならば、日本の新幹線が死亡事故を起こしていないのは単なる僥倖だからだ。その最大の危機は、阪神淡路大震災の時だ。あの震災の発生時刻が新幹線の始発前だったため、落下した高架からの脱線落下を免れることができたからだ。発生時刻が6時5分頃であったら、惨事になっていたはずだ。高架が落ちた場所は、震災後しばらくして通りかかったことがあるが、震災を起こした断層のほぼ真上で、付近では大被害を受けた住宅が帯状に続いていた。
このことから言えるのは、断層直上に高架がある場所ではいつでも地震による脱線事故があり得ると言うことだ。そして日本には既知の、そして未知の断層が無数にあり、そのうちどれが動きうるのかと言うことは全く予想できない。だから、地震による脱線とそれによる惨事はいつでもあり得ると言うことは知っておくべきだろう。
地震とは別に、今回の事故後も中国の高速鉄道ではダイヤの乱れが頻発していることを、あの国の技術と管理のいい加減さの例証としてあげるメディアがある。しかし日本を振り返ってみれば、新幹線のダイヤの乱れはさして珍しくもない。ポイント故障や信号故障、架線に異物が引っかかる等の送電事故や車両故障、さらには人身事故等で、毎週のようにどこかで発生している。ただ、単に安全対策の結果としてそうなると見なしているだけだ。
だから、中国の高速鉄道事故は中国特有の体質によるもので、日本では起こりえないという主張は好ましくない。運行管理システムのソフトウエア更新に伴って不具合が起きることもあるし、現在のシステムにもバグがないとは言えない。中国で起こりうることは日本でも起こりうるのだ。
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